不在配送ゼロ化プロジェクト
2018-12-24 08:00:00
AIとスマートメーターを活用した不在配送削減プロジェクトの全貌
AIとスマートメーターを活用した不在配送削減プロジェクトの全貌
日本における個人向け配送の問題の一つ、それは不在配送の多さです。実際、不在配送は全体の約2割を占めており、これに伴うコストは数千億円に上るという試算もあります。この深刻な状況を背景に、東京大学の越塚研究室などが協力して実施された「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」が立ち上げられました。
プロジェクトの目的と背景
このプロジェクトは、日本全体の労働力が減少している現代において、AIを活用して物流産業の生産性向上を目指すことを目的としています。具体的には、東京大学発のベンチャー企業と共に、実用化を前提とした新たな配送ルーティングエンジンの開発に取り組んでいます。このエンジンは、各家庭に設置されたスマートメーターから得られる電力データを基にして、在宅予測を行います。これにより、在宅の家庭から優先的に配送を行うルートを自動生成し、効率的な配送を実現します。
この技術により、配達担当者は「不在配送」を極力避けることができ、配送成功率はなんと98%に達することが実証されています。人間の判断に頼る場合と比べて、現実に99%以上の不在配送が削減されました。これにより、移動距離も5%短縮され、再配送にかかるコストを大幅に削減できるのです。
プライバシー保護の工夫
このプロジェクトにはプライバシーの観点が強く考慮されています。越塚教授も指摘しているように、従来の手法では不在情報が配送者に知られてしまうことがありましたが、新たに開発されたルーティングエンジンではその心配がありません。AIによるデータ処理により、各家庭の在不在情報は適切に隠され、個人情報の保護が強化されています。
この点こそが、今後の社会において非常に重要なサービスモデルとなるでしょう。人々のプライバシーに関わることは、むしろAIやロボットに役割を担わせることこそが、より安心感をもたらすのではないでしょうか。
未来への展望
プロジェクトは既に国際学会での発表も果たしており、実用化に向けた実証実験も行われる予定です。東京大学発の日本データサイエンス研究所やNextDriveとの連携により、さらなる実用性向上が期待されています。この取り組みは、単なる技術革新にとどまらず、より良い社会のためのソリューションを提供するものとなるでしょう。テクノロジーの進化と共に、私たちの生活にどのような変化がもたらされるのか、今後の動きに注目が集まります。
会社情報
- 会社名
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株式会社JDSC
- 住所
- 東京都文京区小石川1-4-1住友不動産後楽園ビル16階
- 電話番号
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