亀岡市、JR西日本株式を取得し市民に優待券を提供する新事業

京都府亀岡市が、今後の公共交通の在り方に新しい一歩を踏み出します。市は、2025年2月から3月にかけて、西日本旅客鉄道株式会社（JR西日本）の株式を約1億円規模で取得し、この株式に基づいて得られる株主優待券を市民に向けて抽選でプレゼントするプロジェクトを始めることを発表しました。この取り組みは関西初の試みであり、地方自治体が交通インフラを成す鉄道会社の株式を大規模に取得し、そのリターンを市民に還元するという画期的な事業として注目されています。

この施策の背景には、亀岡市が抱える交通インフラの問題があります。JR嵯峨野線はJR京都駅からのアクセスが良好で、多くの市民にとって欠かせない存在ですが、近年は減便が続き、利便性の低下が懸念されています。特に2022年3月からの日中の減便が続く中、市民は不便に直面しています。これまで市や地域の協議会を通じて、ダイヤの復旧をJR西日本に要望してきましたが、期待する改善が実現していないのが現状です。

このような中で、亀岡市は単なる要望に留まらず、「行動する株主」という新しい立場を取ることで、自らの意志を強く示すことを決定しました。この株式取得により、行動で示すと同時に公共交通の重要性について市民に関心を喚起し、また市民が公共交通について考える機会を提供することが期待されています。この事業は、JR西日本との建設的な関係を構築する一助ともなるでしょう。

事業の具体的内容として、2025年9月1日から30日までの間、亀岡市民を対象に株主優待券のプレゼントキャンペーンを実施します。応募資格は、亀岡市民であること、受け取りの際の本人確認が可能なこと、そして市役所での受け取りが必要です。プレゼント内容には、鉄道料金割引券や京都鉄道博物館の入館割引券、宿泊優待券など多彩な特典が用意されています。

この優待券の取得は市民が公共交通についての意識を高める一助ともなり、将来的なダイヤの復便への期待を大きくすることでしょう。また、株主としての立場からJR西日本との対話を強化し、共に地域交通の未来を考える機会を生み出すことが重要とされています。

亀岡市が始めるこの新しいプロジェクトは、今後の公共交通の在り方に大きな影響を与える可能性があります。その成功を祈ると共に、市民の皆さまにもぜひ、この新たな取り組みに参加していただき、公共交通の未来を共に考える機会を提供してほしいと思います。