慶應イノベーション・イニシアティブのJCCL出資でCO₂回収技術が加速
慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)は、九州大学から生まれたスタートアップ、株式会社JCCLに対する出資を開始しました。出資内容は、革新的なCO₂分離材料「アミン含有ゲル」とCO₂回収装置の開発に用いられ、JCCLの資金調達は今回の増資により総額4億円に達しました。この出資は、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩と言えるでしょう。
JCCLの目指すもの
JCCLは、九州大学の星野友教授の研究成果を基に、生体反応を模した新しいCO₂分離材料を開発した企業です。生体がCO₂をどのように扱うかを真似ることで、高効率かつ低コストでのCO₂回収を実現することを目指しています。今回の出資により、JCCLはさらなる技術革新を図り、具体的には以下の取り組みを進める予定です。
1. パートナー企業との協力によるCO₂分離回収装置及び性能評価装置の販売促進
2. 来年度、1日30kgのCO₂を分離回収可能な試作装置の製造
3. 1日300kgのCO₂を回収できる大型装置の開発
4. CO₂回収に必要な吸収剤の製造プロセス確立の推進
これらの取り組みは、将来的にはCO₂回収能力10トン/日を実現する大型機の開発につながる計画です。大手国内メーカーとの連携を強化することで、さらに実現の可能性が高まります。
カーボンニュートラルへの寄与
今回の出資を含め、JCCLはCO₂分離回収技術の普及やコスト低減を図ることで、カーボンニュートラル達成への大きな貢献を目指しています。環境意識が高まる中、CO₂回収は急務と言われており、JCCLの活動は多くの期待を寄せられています。
KIIのトランスフォーメーション
一方、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)は、起業支援を通じて社会の革新を促進することを目指しています。2015年の設立以来、慶應義塾大学の研究成果を生かしたスタートアップを支援しつつ、2020年からはより広範な技術系スタートアップへの投資も行っています。デジタルテクノロジーや医療、健康といった分野に焦点を当て、日本の大学等の研究成果を社会実装へと結びつける努力が続けられています。
会社概要
JCCLの情報
- - 会社名: 株式会社JCCL
- - 所在地: 福岡県福岡市西区九大新町4-1
- - 代表者: 梅原 俊志
- - 設立: 2020年12月
- - 事業内容: CO₂分離、変換及び利用に関する材料・装置・プロセスの研究開発及び製造販売
- - URL: JCCL公式サイト
KIIの情報
- - 商号: 株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ
- - 事業内容: 大学発技術系ベンチャー企業の育成やベンチャーキャピタルファンドの運営
- - 資本金: 1億円(資本準備金5000万円含む)
- - 代表者: 山岸 広太郎
- - URL: KII公式サイト
KIIのJCCLへの出資は、持続可能な未来のための新たな技術の発展を支える基盤となるでしょう。この取り組みがどのように展開されていくのか、今後の動向に注目です。