観客の選択が物語を変える新感覚アトラクション『選ぶ軌跡 orbit C.C.』特集

新感覚アトラクション『選ぶ軌跡 orbit C.C.』について

2025年7月20日から東京有明のSMALL WORLDS Miniature Museumで上演されるこの新しい舞台アトラクション。その名も『選ぶ軌跡 orbit C.C.』。観客の選択によって展開が変わるというユニークな体験が話題となっており、チケットの予約が急増しています。今回は、物語のカギを握るキャストの天野旭陽さんと演出を担当した酒井りゅうのすけさんに、彼らの思いや制作の裏側についてお話を伺いました。

天野旭陽さんの役割

天野さんは、今作においてKEY CASTの一人として登場。その役割はストーリー進行を担うSTORY CASTとは異なる特異なものです。ゲネプロを終えての率直な感想を尋ねると、「実は、KEY CASTにはほとんど台本がなく、稽古も参加していない」とのことでした。その理由は、「観客とキャストがともに「何が起こっているのか分からない」という状況をリアルに感じられる体験を提供するため」だと言います。

天野さんが言うように、今回の作品では観客もキャストも、すべてが新鮮な気持ちで進行していきます。謎が解き明かされるにつれて、観客は演者である天野さんと同じようにその場の緊張感や興奮を体感します。このような演出が、観客に特別な没入感を与えるのです。

演出の意図

一方、酒井さんは「観客がパニックになってしまうかもしれないが、これは意図した演出だ」と言います。作品は、宇宙船に乗り込んだ観客が様々な謎に巻き込まれるリアルな体験を目指しています。そのため、KEY CASTにはほぼ台本を与えず、観客の反応によって物語が動くようにシナリオを細部まで設計することに努めています。

それにより、観客は自らの選択を反映させて物語に参加できるのです。酒井さんは、観客とのインタラクションが重要であり、それぞれの観客が異なる体験を通じて物語を構築することに焦点を当てています。

体験型アトラクションの楽しみ方

初めてこのような没入型アトラクションに参加する方へ天野さんがアドバイスするのは、「常にキャストに随伴することが重要」ということです。特に、何が起きているのか理解できない状況では、キャストに一緒にいてもらうことで安心感を得られるでしょう。また、より刺激を求める方には複数のキャストに接触し、異なる視点から物語を楽しむことを提案します。どんな選択も不正解ではなく、自分自身の選択を楽しむことができるのがこのアトラクションの魅力です。

物語の進行と観客の関与

物語終盤において、キャストと観客が議論を交わすシーンでは、会場が一体となった雰囲気が生まれます。観客はそれぞれ異なるキャストのもとにいるため、持っている情報や体験が異なります。その結果、物語に複数の分岐点が生まれ、毎回異なるエンディングが展開されます。これこそが、演者と観客の双方向の体験が生む新たな魅力です。