多摩美術大学大学院日本画研究領域を修了したアーティスト、粂原愛の個展「静寂の聲」が、京都 蔦屋書店にて開催されます。本展は、2024年7月20日(土)から8月6日(火)まで、京都 蔦屋書店6階ギャラリーにて開催されます。
粂原愛は、海外での滞在制作を経て、現在は長野にアトリエを構え活動しています。彼女の作品の特徴は、透過度の高い絵の具で下図を制作した後、画面全体に薄い和紙を貼り岩絵の具で彩色するという、日本画の技法と独自の感性が融合したスタイルです。
幼い頃から自然に興味を持っていた粂原は、近代日本を代表する自然科学者である寺田寅彦の自然観に影響を受け、2019年から2020年前半にかけてデンマークにわたり、滞在制作を行いました。デンマークでは、庭、自然保護区、コロニヘーヴ(デンマーク式のコミュニティガーデン)など、人為的に自然が作られた場所での制作を行いました。
コロナウイルスによるロックダウンによって思いがけずデンマークでの滞在が長くなった粂原は、手付かずの自然環境の中に突然出現した動物と対峙した経験から、動物を「何かを示唆するもの」として描き始めました。それ以降は、生と死を行き来するような虚構の世界を表現しています。
本展のタイトルである「静寂の聲」は、粂原が2020年に書いた日記から抜粋した言葉です。本展では、屏風や裏箔を使用した画面など、日本美術が承継してきた形式に落とし込まれた作品を展示します。
粂原愛は、自身の作品を通じて、自然と人間の複雑な関係、そして生命の力強さを表現しています。静寂の中に生命の息吹を感じさせる彼女の作品は、観る者に深い感動を与えることでしょう。
本展は、京都 蔦屋書店6階ギャラリーにて開催されます。入場無料です。ぜひ、この機会に、粂原愛の静寂の世界に触れてみてください。