外国人雇用に関する調査レポート
背景
日本の労働力人口は少子高齢化に伴い減少を続けており、中小企業にとっては人材確保が死活問題となっています。この問題を解決するために、政府は技能実習制度や特定技能制度を導入し、外国人労働者の受け入れを推進しています。本調査は、その外国人雇用の実態を把握し、今後の人材戦略を考えるための基礎資料を提供することを目指しています。
調査概要
調査期間は2025年8月1日から31日まで。
対象となるのはエフアンドエムクラブの会員企業で、有効回答数は2,488社に達しました。調査は中小企業を中心に、製造業、建設業、サービス業など多様な業種にわたって実施されています。
設問内容は外国人雇用の有無、出身国、人数、コスト、満足度、課題、離職理由、今後の意向など多岐にわたります。
調査結果の概要
完了した調査によると、外国人労働者の導入は限定的であり、回答企業の約57%が外国人を雇用したことがないと回答しました。特に小規模企業においてこの割合が高く、製造業や建設業では相対的に外国人雇用が進んでいます。企業が大きくなるほど外国人雇用の実施率が高く、さまざまな在留資格が活用される傾向が見られました。
多くの外国人労働者はベトナムやインドネシア、中国から来ており、少数ずつ受け入れられています。しかし、特定技能や技能実習の導入に際しては、紹介料や管理費用が企業によって異なり、教育・管理のコストが中小企業にとっての導入の壁となっています。
満足度に関しては、約47%が「日本人と同等」と評価し、「高い」と答えた企業が約24%いるものの、「言語の壁」や「生活支援の負担」といった課題が依然として大きいことも明らかになりました。
まとめ
本調査では約57%の企業が外国人を雇用したことがなく、中小企業における外国人雇用は依然として限定的で、特に小規模企業でその傾向が顕著でした。教育や管理コスト、日本語でのコミュニケーションの負担が、外国人労働者の導入の障害となっています。
一方、製造業や建設業では技能実習や特定技能が利用され、企業の規模が大きいほど外国人雇用の可能性が高くなるという傾向が見受けられます。今後の外国人雇用に関しては慎重な姿勢が多いものの、「自社に合う人材がいれば活用したい」と考えている企業も一定数存在し、潜在的な需要が感じられます。
さらに、すでに外国人を雇用している企業では日本人労働者と同等以上の評価を得ている場合も多く、これが中小企業における外国人材の受け入れ意欲を引き出す材料となるでしょう。
制度の今後に向けて
現行の技能実習制度では日本語能力が限定的であり、受け入れ後に段階的な教育が必要とされています。しかし、特定技能制度では即戦力を期待した人材の受け入れが可能となり、企業が負担するコストも企業間でバラつきがあるものの、比較的短期間で実務を行える人材を確保できるメリットがあります。
今後創設される育成就労制度によって、日本語教育や業務理解のステップを組み込むことも計画されています。これにより、中小企業でも即戦力として活躍できる環境が整えられることが期待されます。
結論
総じて、中小企業における外国人雇用は現時点では限定的ですが、特定技能制度や新しい育成就労制度を積極的に活用することで、潜在的な需要が実際の受け入れにつながる可能性が高いと考えられます。今後、中小企業が外国人材を受け入れることで、人手不足を解消し、企業の成長に寄与することが期待されるでしょう。
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