退職者が選ぶおすすめ企業ランキングが示唆する雇用の未来

退職者が選ぶ「辞めたけどおすすめしたい企業ランキング」が最近発表され、外資系企業と総合商社の存在感が際立っていることが明らかになりました。最近の調査によると、日本の労働市場では労働力人口が減少する中で、企業間の人材獲得競争がますます激化しています。以前は「退職者＝裏切り者」というネガティブなイメージが付きまとったものですが、現在は、一度退職した社員を再雇用する「アルムナイ採用」の導入が進んでおり、企業が元社員との良好な関係を維持することが求められています。実際の成果として、約40%の企業が中途採用を増やす工夫の一環として、このアルムナイ採用を選択しています。

今回のOpenWorkの調査レポートでは、退職した社員が「この会社で働いてよかった」と感じる企業の特徴を探ることを目的としています。調査によると、最も高評価を得た企業は1位がマッキンゼー・アンド・カンパニー、2位がヴイエムウェア、3位が伊藤忠商事でした。興味深いことに、上位10社のうち5社が外資系企業であり、4社が総合商社が占めています。

上位30社には、味の素やトヨタ自動車といった老舗企業や、DeNAやサイバーエージェントなどの新興企業も含まれています。また、外資系企業の中では、アマゾンウェブサービスや日本マイクロソフトが名を連ねており、IT業界の強さを物語っています。

これらの企業が退職者から高評価を得ている理由として、外資系やメガベンチャーで共通する「卒業文化」が挙げられます。社員の多くが「次のステップを目指して退職する」という前向きな理由を持っており、結果、一体感を持って目標を達成する文化や、具体的なフィードバックが成長を促進させる環境が整っていると指摘されています。

具体的な退職者の声では、「新卒入社後1−3年で起業へのスキルを高め、一緒に成長した同僚と別れるのが常」と語るマッキンゼーのコンサルタントや、「フィードバックが成長を促す」と評価するボストン・コンサルティング・グループの社員もいます。このように、特に外資系企業は短期間での成長を促す環境にあると感じられています。

総合商社については、長期的な育成意識が強く、非常に充実した研修制度を持つ企業が多いことが評価されています。伊藤忠商事の営業職からは、「会社負担で多くの研修を受けられる」との声があり、またトヨタ自動車では、社員を辛抱強く見守る文化があると称賛されています。こうした企業では、失敗を恐れず若者たちの挑戦をサポートし、長期にわたる人材育成に注力しています。

また、代替の効きにくい価値を提供する「目的特化型」の企業もランキングに名を連ねています。特に国際協力や医療領域での専門性を活かすポジションを専門とする企業が、退職者から高評価を得ています。例えば、キャセイパシフィック航空やJICAボランティアなどは、入社の動機が明確であり、その経験が高い満足感へと繋がっていることが感じられます。

日本法人オープンワークが行ったこの調査は、2020年以降に退職した元社員による136,087件の評価を集計したものであり、今後の企業の採用戦略としても重要な示唆を提供しています。新卒一括採用や終身雇用制度が変化する現在、企業もまた、退職者をいかに育成して送り出していくかが、無形の資産となる可能性を秘めています。これらの研究結果は、転職市場で「この企業出身なら安心」と評価されるような人材育成の一助となることでしょう。