コンテンツビジネスラボが発表した2025年調査
株式会社博報堂DYホールディングスと博報堂の共同プロジェクト「コンテンツビジネスラボ」が実施した「コンテンツファン消費行動調査2025」の調査結果が発表されました。この調査は、アニメや音楽などの11カテゴリ、1,700以上のコンテンツについて、消費者の支出行動を分析したものです。
コンテンツへの支出が過去最高を記録
2025年の調査によると、生活者のコンテンツへの支出額は1人当たり85,137円となり、これは伸びを続けてきたコロナ禍の影響から回復した結果、過去最高を更新しました。前年比で6,034円の増加が見られ、エンターテインメント市場の活況を示しています。特に、リアルイベントや音楽のカテゴリが支出を牽引しています。
主な市場カテゴリの動向
調査によると、リアルイベント市場の推定規模は1兆2,596億円に達し、前年比22%の増加を記録しました。音楽ジャンルが全体の支出増を促進し、3,122億円の支出がリアルイベントで報告されています。デジタルコンテンツ市場も4,827億円の規模に達し、高水準を保っています。
生活者が音楽や映像コンテンツをデジタルで楽しむ際、コンサートや展示イベントへの参加など、現実の体験へと支出が繋がることが多くなっています。このように、コンテンツホルダーはデジタルとリアルの両面で収益の機会を広げる重要なチャンスを得ることができるでしょう。
支出する人数は減少傾向
しかし、コンテンツへの支出者数は減少しています。2019年から2025年にかけて、ほとんどのジャンルで支出層が減少し、特に音楽ジャンルではリアルイベント市場で648万人、関連グッズ市場で188万人の減少が見られました。このことから、特定のコンテンツを深く愛する熱心なファンの存在が強調されつつも、全体としての支出者数は増えていないことがわかります。
この現象は、デジタル環境におけるコンテンツの幅広い楽しみ方が、一般的な支出行動に影響を与えていると考えられます。デジタルコンテンツの無料利用や、過去の視聴履歴に基づく推奨コンテンツの増加が、支出層の減少に寄与している可能性があります。
Mrs. GREEN APPLEの躍進
調査の中で特に注目されるのは、音楽アーティストの『Mrs. GREEN APPLE』です。このアーティストは、「リーチ力」ランキングで5位、「支出喚起力」ランキングで11位にランクインするなど、大きく躍進しました。このことは、2022年調査での『嵐』以来初めて音楽アーティストが両方にランクインしたことを意味します。
『Mrs. GREEN APPLE』はファンの支出が目立つ傾向があり、ライブ配信やファンクラブへの支出が特に多く見られました。2024年には高頻度で新曲をリリースし、サブスクリプションサービスを通じてファンベースを拡大し続けるでしょう。これにより、コンテンツへの支出が増加しています。
調査概要と今後の展望
「コンテンツファン消費行動調査2025」は、全国の15~69歳の男女を対象に行われたインターネット調査で、10,000サンプルのデータが集められました。この調査によって、どのコンテンツが市場に影響を与えているかを分析し、今後のマーケティング戦略に活用できる貴重なデータを提供しています。コンテンツホルダーは新しいファンを獲得し、収益を上げるための戦略を考える必要があります。
今後のコンテンツビジネスにおいては、新たなファンの獲得と、既存のファンのニーズに応えることが重要なテーマとして浮上しています。市場のダイナミクスをしっかりと把握し、ファンとの関係性を深めていくことが、成功の鍵となるでしょう。