奇跡のピアニスト、フジコ・ヘミングの心に響く言葉
2024年4月21日に永眠されたピアニスト、フジコ・ヘミング。その遺した言葉の数々は、多くの人々に勇気と希望を与えてきました。彼女の集大成とも言える書籍『奇蹟のピアニストフジコ・ヘミングのことば エンジェルはそばにいる』が、2024年7月30日に発売されます。
フジコさんは、幼い頃から音楽の才能を発揮し、ピアニストとして高く評価されていましたが、数々の不遇の時期を経て、長い間実力を発揮できない時期もありました。中でも、1969年にリサイタルを目前に控え、風邪によって聴力を失ったことは、彼女にとって大きな試練でした。しかし、その後もピアノ教師としての道を歩み続け、演奏活動も行う中で、フジコさんは新たな道を見つけ出しました。
1999年に放送されたNHKのドキュメンタリー『フジコ〜あるピアニストの軌跡〜』が、彼女の才能と苦悩を世に広めるきっかけとなり、多くの視聴者に感動を与えました。激動の20世紀を生き、数多くの試練を乗り越えた彼女のピアノ演奏は、観る者の魂を深く揺さぶりました。
フジコさんが語った言葉の中には、「正直にやっていればこの世の中、必ず報われる」という力強いメッセージや、「人生なんて、人に相談してもしかたがないのよ」といった独自の人生観が印象的です。また、彼女は「いくらテクニックがあっても、人間性は絶対に音に出る」とも述べており、音楽に対する真摯な姿勢を表しています。このように、フジコさんの言葉には、彼女自身の壮絶な経験が一点の曇りもなく反映されています。
彼女の独自の音楽観は、演奏スタイルにも表れています。「ぶっこわれそうな鐘があったっていいじゃない。私の鐘だもの」という言葉には、フジコさんの個性と信念が色濃く映し出されています。
今回の書籍では、約20年にわたってフジコさんを追い続けた写真家、中嶌英雄の美しい写真とともに、彼女の言葉を振り返る内容となっています。フジコさんの人生の後半を彩る素晴らしいメッセージや、彼女の人生観を心ゆくまで楽しむことができる貴重な一冊です。
書籍は、双葉社から発売され、定価1,980円(税込)で販売されます。A5判で、ISBNは9784575319088。フジコ・ヘミングという名の背後にある壮絶な物語と、彼女が紡いだ心に響く言葉の数々をぜひ手に取って感じてみてください。