ジェンダーの壁を打ち破る!日本の女性写真家、国際舞台へ - 大規模な書籍刊行と国際巡回展が実現
長年、男性中心に語られてきた「日本写真」の世界に、ついに変化の兆しが見えてきました。日本の女性写真家の作品をまとめた国際版書籍と、それに伴う国際巡回展がスタート。このプロジェクトは、ジェンダーの壁に阻まれながらも、創造性を追求し続けた女性写真家たちの功績を世界に知らしめることを目指しています。
「I'm So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now」と題されたこのプロジェクトは、英語版がアパチャー財団、フランス語版がテクスチュエルから刊行される予定です。展覧会は、今年7月1日に開幕するフランスのアルル写真祭を皮切りに、約4年間世界各地を巡回する計画となっています。
注目すべきは、京都芸術大学の竹内万里子教授が、書籍に寄稿するとともに、展覧会の共同キュレーターとして参加していることです。竹内教授は、長年写真批評家として活躍され、国内外の様々な写真展を企画されてきた実績を持つ人物です。今回のプロジェクトでは、教授自身の見識と経験を活かし、日本の女性写真家たちの作品を国際的な視点から紹介します。さらに、大学院・美術工芸学科の多和田有希先生の作品も書籍に掲載され、展覧会で展示される予定です。
竹内万里子教授の言葉
「日本には素晴らしい女性写真家がたくさんいるにもかかわらず、ジェンダーバイアスに基づく様々な困難ゆえに、国内外で「日本写真」といえば、紋切り型のように男性の写真家ばかりが長い間取り上げられてきました。その不当な状況に一石を投じるために、国際チームで長い年月をかけてこのプロジェクトを準備してきました。その成果をこのような書籍と国際巡回展という形でようやく発表できる時が来たことを、本当に嬉しく思っています。困難な状況の中で自由を求め、孤独と戦い、創造性を決して諦めることのなかった彼らの素晴らしい作品は、男女を問わずすべての方々に多くの勇気と力とインスピレーションを与えてくれるものと信じています。」
書籍と展覧会について
書籍
英語版タイトル:I'm So Happy You Are Here : Japanese Women Photographers from the 1950s to Now
出版社:Aperture
フランス語版タイトル:FEMMES PHOTOGRAPHES JAPONAISES - Des années 1950 à nos jours
出版社:Textuel
編集:Pauline Vermare , Lesley A. Martin
寄稿:Takeuchi Mariko, Carrie Cushman, Kelly Midori McCormick, Marc Feustel, Russet Lederman
写真:Hara Mikiko, Ishikawa Mao, Ishiuchi Miyako, Katayama Mari, Kawauchi Rinko, Komatsu Hiroko, Kon Michiko, Nagashima Yurie, Narahashi Asako, Ninagawa Mika, Nishimura Tamiko, Noguchi Rika, Nomura Sakiko, Okabe Momo, Okanoue Toshiko, Onodera Yuki, Sawada Tomoko, Shiga Lieko, Sugiura Kunié, Tawada Yuki, Tokiwa Toyoko, Ushioda Tokuko, Watanabe Hitomi, Yamazawa Eiko, Yanagi Miwa
展覧会
プレミエ会場:アルル写真フェスティバル (Les Rencontres de la Photographie, Arles)
タイトル:I’M SO HAPPY YOU ARE HERE : JAPANESE WOMEN PHOTOGRAPHERS FROM THE 1950S TO NOW
期間:2024年7月1日(月)~ 9月29日(日)午前10時 - 午後7時30分
会場:パレ・ド・ラルシヴェシュ(35 Pl. de la République, 13200 Arles, フランス)
詳細:https://www.rencontres-arles.com/en/expositions/view/1543/i-m-so-happy-you-are-here
京都芸術大学について
京都芸術大学は、10学科24コースからなる国内最大規模の総合芸術大学です。芸術を通して社会で必要な力を育成しています。 芸術を学んだ学生が社会を変える「藝術立国」を教育目標に掲げ、通学課程では特に “社会と芸術”の関わりを重視した芸術教育を推進。企業や自治体などが抱える課題を、学生たちがアート・デザインの力で解決する「社会実装プロジェクト」が年間100件以上あります。学科を超えたグループワークや実際の仕事を通して、社会性を備えた表現者を育成しています。
住所:〒606-8271 京都府京都市左京区北白川瓜生山町2-116
学科編成:10学科24コース(美術工芸学科、キャラクターデザイン学科、情報デザイン学科、プロダクトデザイン学科、空間演出デザイン学科、環境デザイン学科、映画学科、舞台芸術学科、文芸表現学科、こども芸術学科)
* 在籍者数:4,114名(芸術学部 正科生、2024年5月現在)
まとめ
このプロジェクトは、日本の女性写真家たちの才能と創造性を世界に発信するだけでなく、ジェンダー平等に対する意識を高め、芸術分野における多様性を促進する重要な一歩となるでしょう。今後の展開に注目が集まります。