山形市の救急搬送支援
2024-06-24 10:33:54

山形市、救急搬送支援システム導入で搬送困難解消へ!周辺地域でも実証実験開始

山形市、救急搬送支援システム導入で搬送困難解消へ!周辺地域でも実証実験開始



全国的に救急出動件数が急増する中、山形市消防本部は、2024年7月12日より、救急搬送支援システム「NSER mobile」を導入しました。

このシステムは、TXP Medicalが開発した救急搬送困難事案の解消とエビデンスに基づく政策立案(EBPM)を推進するための「救急医療情報共有システム」です。

山形市消防本部エリア(山形市、山辺町、中山町)では、NSER mobileの運用が開始され、周辺6市5町(上山市、村山市、天童市、東根市、尾花沢市、大石田町、寒河江市、河北町、西川町、朝日町、大江町)においては、同日より実証実験が始まりました。

これにより、村山地域全域でNSER mobileの利用が始まり、山形県人口の約50%以上をカバーすることになります。

# 背景



山形県では、搬送先が決まるまでに病院への照会が5回以上行われるなどの「搬送困難事例」が深刻化しており、2022年には県内で1,108件が発生しました。これらの97%が山形市を含む村山地域に集中しています。

この問題解決に向けて、平成27年に「村山地域救急搬送改善検討会」が設置され、各救急告示病院や消防機関が協力し、搬送困難事例の解消に向けた改善策を検討してきました。

# 概要



参加機関

消防機関
運用開始:山形市消防本部
実証開始:上山市消防本部、天童市消防本部、西村山広域行政事務組合消防本部、村山市消防本部、東根市消防本部、尾花沢市消防本部
医療機関:山形市内および周辺地域の主要医療機関

対象エリア

運用開始:山形市・山辺町・中山町(約26万人)
実証開始:上山市、村山市、天童市、東根市、尾花沢市、大石田町、寒河江市、河北町、西川町、朝日町、大江町(約26万人)

合計人口:約52万人

運用内容

各救急隊にNSER mobileタブレット端末を配備し、医療機関とデジタル情報をやりとりしながら救急搬送を行います。

対象エリアの16医療機関では、NSER mobileからの情報をタブレット端末で受信します。

# NSER mobileの特徴



NSER mobileは、救急現場と搬送先医療機関間のコミュニケーションを円滑にし、救急対応の効率化を図るシステムです。救急車に配備されたタブレットで収集した患者情報を迅速に搬送先病院に送信し、病院の受け入れ準備を効率化します。従来は電話と紙の帳票で行われていたコミュニケーションをデジタル化することで、搬送業務や情報共有が大幅に改善されます。

山形市では、事案情報入力に加え、病歴やバイタルサイン、静止画、動画情報の共有、一斉照会機能、診療科ごとの応需可否情報、応需履歴の共有、事後検証機能、OA機能など、救急医療におけるデータプラットフォームとしての機能が実装される予定です。これにより、患者の救急搬送から治療・検査・転院までの一連業務をデジタルプラットフォームで管理し、最適な医療を提供します。

# TXP Medicalについて



TXP Medicalは、全国の大学病院や中核病院・救急隊に対し、救急医療現場のデジタル化とプロセス合理化を実現する救急向け医療フロントシステム「NEXT Stage」シリーズを提供しています。また、病院向けに、臨床研究用の医療データ整備・解析環境構築サービスを展開しており、検査値データ、カルテテキスト、DPCデータを含む幅広い情報の病院内での統合・利活用を支援しています。

TXP Medicalは「医療データで命を救う。」をミッションに、現役の救急医・集中治療専門医が立ち上げた次世代の医療インフラを牽引するスタートアップ企業です。

企業名:TXP Medical株式会社
代表取締役:園生智弘(救急科専門医・集中治療科専門医)
設立:2017年8月28日
HP:https://txpmedical.jp/
事業内容
急性期・地域医療DX次世代医療データシステム「NEXT Stageシリーズ」の開発と提供
医療AI技術の開発と提供
医療データプラットフォームの構築、リアルワールドデータの解析
* 医療データ利活用による新たな価値の創出

山形市の救急搬送体制強化への期待と課題



山形市消防本部による救急搬送支援システム「NSER mobile」の導入は、近年深刻化する救急搬送困難事案の解消に向けて大きな期待が寄せられます。

特に、搬送先病院の選定や受け入れ準備に時間を要する現状において、NSER mobileによる迅速な情報共有は、救急隊員の負担軽減だけでなく、患者への適切な医療提供にも大きく貢献すると考えられます。

また、周辺地域での実証実験を通して、システムの有効性を検証し、より広範囲への導入へと繋げていく取り組みは、山形県の救急医療体制強化に大きく貢献する可能性を秘めています。

しかしながら、システム導入によって生じる課題も無視できません。

まず、医療機関側のシステム対応や情報セキュリティ対策の充実が不可欠です。NSER mobileの活用には、医療機関側でのシステム導入や情報共有体制の整備が必須となります。

また、情報セキュリティ対策も重要です。患者のプライバシー保護や情報漏洩防止のための適切な対策を講じる必要があります。

さらに、システム導入に伴うコストや運用体制の構築など、様々な課題を克服していく必要があります。

これらの課題を克服し、NSER mobileを効果的に活用することで、山形市の救急医療体制は大きく進化し、患者の救命率向上や医療の質向上に貢献することが期待されます。

今後は、システム導入の効果や課題を継続的に分析し、さらなる改善を図っていくことが重要となるでしょう。

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