福利厚生と従業員ニーズの実態
2023年、日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務が、全国の総務担当者を対象に行った「福利厚生に関する調査」で、興味深い結果が明らかになりました。調査に参加した143名の総務担当者のうち、約6割が福利厚生と従業員ニーズの間にギャップを実感している一方で、3割以上の企業がその見直しに着手していないという現状です。
総務の意識と実態
調査によると、61.6%の総務が福利厚生と従業員ニーズとの不一致を感じています。その理由は多岐にわたります。物価高の影響で生活に直結する福利厚生が求められているにもかかわらず、企業が提供できていないことや、導入した策が古くなってしまっていることが挙げられます。また、従業員のニーズが多様化している中で、社内にはその声を積極的に聞く仕組みが設けられていないことも要因の一つです。
利用されていない福利厚生
実施されている福利厚生の中で最も多いのは「通勤手当」で、93%の企業が採用しています。一方で、新しい発想の施策や選択型の福利厚生は少なく、固定化した福利厚生が多いことが分かります。例えば、健康ポイント制度や社員同士の飲食代精算制度などユニークな取り組みも存在しますが、全体の中で見れば、アンケートの結果はまだまだ従来型の制度が主流です。
課題と見直しの必要性
福利厚生を導入する主な目的は「働きやすさの向上」であり、そのためには働く環境の整備が必要です。しかし、定期的な見直しが行われていないことは、企業の成長を鈍らせかねません。実際に、調査では32.2%の企業が見直しを行っていないと回答。特に、毎年見直している企業は17.5%に減少し、見直し頻度はますます低下しています。
従業員ニーズの把握
福利厚生制度の利用率を高めるためには、従業員のニーズを把握することが重要です。しかし、3割以上の企業がニーズを把握していない状況です。企業は、従業員からのフィードバックを受けるための仕組みを整えることが求められています。
組織の活性化のために
福利厚生は単なるコスト施策ではなく、人材定着や組織の活性化を支える基盤です。そのためには、経営の意図と従業員の実感を結びつける設計が必要です。今後は、総務担当者の役割がますます重要になってくるでしょう。どの施策が利用されているのかを常に観察し、必要に応じて見直すことで、福利厚生が「生きた施策」として機能するようになるのです。
最後に
調査結果からは、福利厚生が整備されている企業が多いものの、その実態は必ずしも従業員の期待に応えているとは言えないことが浮き彫りとなりました。福利厚生の見直しに向けたアプローチは、定期的な更新やニーズ把握を通じてこそ成果が見込めるのです。今後、経営者や総務担当者は、この課題に真剣に向き合う必要があります。