谷川俊太郎の詩集『ベージュ』が文庫化
2024年11月13日、詩人の谷川俊太郎さんが永遠の旅立ちを迎えました。そんな彼の最後の文庫詩集『ベージュ』が、11月28日に新潮文庫から発売されることが決まりました。本書は、未収録の詩を選び、谷川さんが自身の美意識をもって書き下ろしたものを加えた、まさに記念すべき詩集です。
詩を捧げる力
本詩集には、谷川さんの詩「詩の捧げ物」を始め、作品を通じて彼が信じ続けた形のないものへの思いが詰め込まれています。彼の詩が持つ原初的な力、その力が巧みに言葉の中に息づいています。「虚空に詩を捧げる」というテーマが、読み手の心に響くことでしょう。長年にわたり、谷川さんは詩の世界において声を上げ続け、私たちに多くの感動を届けてきました。
声優・斉藤壮馬の解説
今回の文庫版には、新たに声優の斉藤壮馬さんによる解説が収録されています。斉藤さんは、ヒプノシスマイクでの取り組みを通じて谷川さんの作品に触れ、その詩を音楽として表現するという特別な体験をしました。解説の中で彼は、「かつて子供だったあのころ、言葉以前の感覚で確かに感じていたあの世界のきらめきを、ぼくはこの詩たちから間違いなく感じとったのだ」と語っており、詩と音楽の境界を超える深い思いを綴っています。
生前に谷川さんは「とても面白かったです、ありがとう」という言葉を残されたそうで、その交流は二人の間に深い絆を築いていたことを物語っています。
装幀とイラストの魅力
さらに、この文庫版の装幀を飾るイラストは、アーティストの吉實恵さんによって手掛けられました。ウサギの絵は、晩年の谷川さんが近くに置いていたぬいぐるみをモデルにしています。「こういうものがあるほうがいいんですよ、年寄りは」という谷川さんの言葉からも、その存在がいかに大切であったかが伺えます。尾崎真理子さんは、彼を「詩人」として捉え、心をウサギに託すことでまるでバーチャルな旅に出られるかのように表現しました。谷川さんの想いを受け止めたウサギは、彼の詩の上で、まっすぐに前を見つめています。
詩的な歩みの証
谷川俊太郎さんは、1931年に東京で生まれ、1950年に「文學界」にてデビューを果たしました。その後の70余年にわたり、数え切れないほどの詩を創作し続け、多くの人々に愛され、評価を得てきました。彼の詩は、単なる言葉の羅列ではなく、私たちの日常や存在を深く映し出すものでした。本書『ベージュ』には、誕生と死、若さと老い、忘却の快感といったテーマを扱った珠玉の31篇が収録されています。
まとめ
谷川俊太郎の詩集『ベージュ』は、彼の生き様や思いを感じることのできる一冊です。文庫発売日を心待ちにしながら、この詩作品がどのように私たちの心に響くのかを期待しましょう。心を込めて編まれたこれらの詩たちは、私たちの人生の一部となりうることでしょう。この特別な詩集があなたの心に届くことを願います。
書籍データ:
- - タイトル:ベージュ
- - 著者名:谷川俊太郎
- - 発売日:2024年11月28日
- - 造本:文庫
- - 定価:506円(税込)
- - ISBN:978-4-10-126627-5
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