2024年問題から1年を経て、トラックドライバーの選ばれる時代へ
2024年に導入された「2024年問題」はトラックドライバーの労働環境を大きく変えることが期待されました。この問題は、ドライバーの拘束時間に上限を設け、長時間労働を是正するための制度的枠組みが整えられたもので、持続可能な物流体制の構築を意図しています。しかし、実際には新たな課題も持ち上がっており、ドライバーが抱える問題は依然として解決されていません。
株式会社Hacobuは「2024年問題」以降のトラックドライバーの働き方に関する実態調査を実施し、その結果をリポートとして発表しました。この調査は、全国で1271名のトラックドライバーを対象に、2025年3月3日から7日までの5日間にわたり行われました。調査の主な目的は、働き方や労働環境、荷主の対応について、制度が施行されてからの変化を明らかにすることでした。
調査結果の概要
調査の結果において、最も印象的だったのは、長時間拘束や荷待ち時間の問題が依然として根強く存在していることです。1日の平均荷待ち時間では、過半数が1時間以上待たされていることが分かりました。特に「荷待ち時間の長さ」がドライバーが感じるストレスの主要な要因となり、49.9%ものドライバーが荷待ち時間が長いことを問題として挙げています。この問題は、拘束時間が超過してしまう要因ともなっており、早急な改善が望まれます。
また、ドライバーたちは、荷主に対して業務改善の要求を積極的に行っていることも明らかになりました。特に「荷待ち時間の長さ」や「付帯作業の多さ」に関しての要望が高く、今後「選ばれる荷主」と「選ばれない荷主」の差が拡大していく可能性を示唆しています。ドライバーに配慮した受け入れ体制を整えることが、今後の荷主にとって重要な課題となるでしょう。
2024年問題から1年が経過しても
2024年4月に施行された法改正から約1年が経過しましたが、ドライバーたちの間では、依然として改善の兆しを実感していないという声が多いことも調査結果に見られます。「2024年問題」施行後も「荷待ち時間が長い」と感じるドライバーは約50%に上り、改善を感じていないドライバーが多いということが示されています。同時に、たとえば荷主が「荷待ちを減らすために取り組んでいる」と回答したのは半数でしたが、それも「少しある」と感じる人が多かったことが確認されました。ドライバーたちの期待が高まる中でのこのギャップが今後の物流の問題をより複雑にしています。
ドライバーが求める改善策
ドライバーたちが特に望んでいる具体的な改善策としては、「待機場所の確保」や「待ち時間の短縮」が多く挙げられています。調査では、63%が待機場所の確保についての改善を望んでおり、60%が待ち時間短縮を求めているという結果が出ました。これらの要望に応じて、企業はドライバーにとって働きやすい環境を整える必要があります。
Hacobuは、デジタル技術や予約受付システムの導入についても言及しており、荷待ち時間の短縮につながる取り組みが重要であると考えています。また、具体例としては、株式会社J-オイルミルズや株式会社デンソーなどが、物流DXを推進し、ドライバーに選ばれる環境作りに役立てていることが紹介されています。これらの取り組みは、今後の物流業界において模範となるものでしょう。
まとめ
結論として、トラックドライバーの働き方は今後大きく変わる可能性があります。「2024年問題」がもたらした変化が定着していくには、荷主がドライバーの負担軽減に向き合い、実行可能な改善をすることが不可欠です。持続可能な物流を目指して、企業はドライバーたちの声に耳を傾ける必要があります。この調査結果についての詳細は、Hacobuの公式サイトで確認できます。