株式会社ダイナンが2025年度グッドデザイン賞を受賞したとの嬉しいニュースが飛び込んできました。ダイナンは大分県大分市に本社を置く繊維製品の製造企業で、近年、ブランディングプロジェクトに力を入れてきました。受賞は、このプロジェクトが実を結んだ証であり、企業が社員やお客様に向けて伝えたいメッセージの強化を図った成果とも言えるでしょう。
ブランディングプロジェクトの背景
ダイナンのブランディングプロジェクトは2021年から始動しており、その目的は明確でした。業界が抱える人手不足や高齢化といった課題に対し、社外に向けて縫製の価値を伝え、社内では働く人たちの誇りを醸成しつつ、新たな人材を迎え入れる土台を作ることに努めています。企業の理念やビジュアルアイデンティティ(VI)などを整備し、多くの取り組みを通じて、社内外のイメージを刷新しています。
具体的な取り組み
プロジェクトの中で注目すべきは、企業理念の制作とその発信です。ダイナンは「縫製には魔法のような力がある」という理念を掲げ、「手で考え、心を動かす」というスローガンを定めました。この理念は社員の手によって形成されたものであり、さらにコンテンツプラットフォーム「note」を用いて社外に発信することでさらに広がりを見せています。
また、ロゴやビジュアルデザインの刷新においては、地元大分県の文化に根ざすデザインを採用し、社員が愛着を持てるロゴを制しました。ウェブサイトでは採用活動や顧客向けの工夫が施され、社内の雰囲気づくりにも大きな影響を与えています。さらに、社屋の外装をコーポレートカラーで塗装し、会社への愛着や誇りを育む仕組みも整えています。
従業員の休憩スペースの革新
「大広間」と命名された従業員のための休憩スペースも注目に値します。この場所は、社員が集まりながらもそれぞれの時間を過ごせる「包容力のある空間」としてリニューアルされ、交流イベントを通じてコミュニケーションが増えています。社内でのつながりが深まることにより、働く喜びも向上しています。
ユニフォームの刷新も大きな成果
また、ユニフォームのデザインにも革新が見られ、久留米絣を使用したオリジナルの生地を採用し、社員が自由にカスタマイズできる仕様になっています。これは従業員が自社の製品を手掛ける喜びを感じられる機会でもあり、伝統的な織物に親しむ一助ともなります。
成果としての承認
2025年の社員アンケートでは、「手仕事に誇りを感じるようになった」「服を着る人のことを考えられるようになった」といった声が寄せられ、プロジェクトの意義が社員の働く姿勢にポジティブに影響を与えたことが評価されています。これらの取り組みを通じて、企業内外にダイナンへの関心が集まっており、求人応募者も増加しています。
グッドデザイン賞について
グッドデザイン賞は、日本で最も歴史のある総合的デザイン評価制度であり、受賞によってダイナンの取り組みが広く認識されることになります。審査委員からは「企業理念やVIを刷新し、社員の誇りを持たせる仕組みを作った点が評価された。」とのコメントもあり、業界内での新たなスタンダードを確立する手助けとなるでしょう。
今後の展望
ダイナンは、この受賞を契機に、さらに働く環境の改善や誇りの醸成に努めていく方針です。社内の努力によって日本の縫製業界全体の未来を切り開く役割を担い、今後の情報発信にも力を入れていくとのことです。
受賞作品の展示会情報
受賞作品は、2025年11月に東京ミッドタウンで開催される『GOOD DESIGN EXHIBITION 2025』にて展示されます。ダイナンも参加し、久留米絣の生地を使用したユニフォームや会社案内などを披露する予定です。ぜひこの機会に足を運んで、ダイナンの魅力をご覧ください。