熊本駅の新アート
2025-10-22 15:42:23
JR九州・熊本駅に復興の希望を込めた大型ステンドグラスアート公開
熊本駅に誕生した復興のアート作品『肥後のいろどり』
2025年10月22日、JR九州・熊本駅の在来線改札内に新たなアート作品が常設されることが発表されました。この作品、『肥後のいろどり』は、熊本の染色工芸家である高津明美氏が原画と監修を手がけ、熊本の復興を支えるシンボルとして位置づけられています。
アートの背景と意味
熊本は2016年に発生した熊本地震の影響を受け、多くの人々が不安な日々を過ごしてきました。高津氏は、自身の故郷に対する思いや愛情を込めて、このアート作品を通じて復興のメッセージを伝えたいと考えました。地元文化や風景をモチーフにしたこの作品は、熊本に対する誇りと希望を象徴しています。
高津氏の手で描かれた原画には、熊本を代表する肥後六花や熊本城、通潤橋、御田祭の宇奈利(うなり)などが美麗に表現されています。肉眼で見ると、ステンドグラスの背後には熊本の独自の文化と自然が広がる情緒を感じさせるデザインです。
ステンドグラスの技術
このアート作品は、ドイツの職人によって手吹きで作られたアンティークグラスを用い、42色、1,031ピースから構成されています。特に中央に描かれた肥後六花では、色合いの明暗が巧みに使われており、その優美な姿が際立つように工夫されています。また、各花ごとに異なる技法を採用することで、それぞれの個性を表現しているのです。
地域と企業の支え
今回のプロジェクトは、日本交通文化協会と九州旅客鉄道株式会社の共同企画として実現しました。多くの地元企業や団体からの協賛、さらにはクラウドファンディングによる支援も集まり、地域全体でこのアートを守り育てる姿勢が見えます。今回の作品は、日本交通文化協会による562番目のパブリックアートとして位置づけられ、未来の熊本を担うアート作品となることでしょう。
高津明美氏は、1947年に生まれ、染色工芸家として50年以上のキャリアを持つアーティストです。彼女は、長らく忘れ去られていた染物「天草更紗(あまくささらさ)」の復元にも尽力しており、多くの受賞歴を誇ります。2023年には第73回熊日賞を受賞しました。彼女の作品は地域文化の振興にも大いに貢献しています。
制作秘話と工房の紹介
このステンドグラスは、クレアーレ熱海ゆがわら工房で制作されました。この工房は1981年に設立され、建築家の隈研吾氏が設計を担当した場所で、ステンドグラスや陶板レリーフを用いたパブリックアート作品を多く手がけています。
ここでは、6,500色以上の釉薬を管理しており、非常に繊細なデザインが特徴です。また、国際的なアーティストとのコラボレーションも行っており、独自の技術と美意識が融合した作品を数多く生み出しています。
結びに
『肥後のいろどり』が設置されるJR九州・熊本駅は、これから多くの人々が行き交う場所になります。このアートを通じて、熊本の新たな出発を感じてもらい、地域の魅力を再確認する機会にしてほしいと願います。復興が進む熊本を、アートという形で支えるこの大作が、皆さんに感動を与え続けることを期待しています。
会社情報
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公益財団法人日本交通文化協会、九州旅客鉄道株式会社
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