慶應イノベーション・イニシアティブが出資したHelical Fusion
日本のスタートアップHelical Fusionが、核融合エネルギーの商用化を目指して新たな一歩を踏み出しました。慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)が同社に対して23億円の資金提供を決定し、核融合炉技術の発展を推進することとなりました。この出資によって、Helical Fusionは世界初の商用ヘリカル型核融合炉を実現し、核融合エネルギーの社会実装に向けた開発を加速させます。
ヘリカル型核融合炉の可能性
Helical Fusionが開発するヘリカル型核融合炉は、岐阜県にある核融合科学研究所など研究機関の知見を基にしたものであり、日本の約70年の研究成果が詰まっています。この核融合炉は、以下の三つの条件を満たすことが求められています。
1.
定常運転: 24時間365日の安定した運転が可能であること。
2.
正味発電: 投入したエネルギーよりも多くのエネルギーを生成できること。
3.
保守性: 短期間で効率よくメンテナンスできること。
これらの条件を満たすことができるのは、従来技術と比べて少ない選択肢の一つであり、クリーンで安全、そして安定した発電方法となることが期待されています。
国家戦略と市場の動向
日本政府は、2025年6月に「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の改定を行い、フュージョンエネルギー産業の創出を強力に推進する方針を打ち出しました。これは、民間による研究開発や事業活動を奨励する内容で、多様な核融合方式への挑戦を促進するものです。Helical Fusionは、商用核融合炉の条件を2030年代に実現し、市場での競争力をもったエネルギー源の開発を目指しています。
株式会社Helical Fusionの概要
Helical Fusionの取り組みは、単なる新技術の導入に留まらず、持続可能であり、環境への配慮を考えた根本的なエネルギー問題の解決策を提供するものです。このような取り組みが進む中で、今後の核融合技術への期待が高まっています。
慶應イノベーション・イニシアティブについて
慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)は2015年に設立され、主に慶應義塾大学の研究成果を基にしたスタートアップを支援しています。KIIは、シード・アーリーステージにおける投資を中心に、医療や健康に関する社会課題の解決に向けて努力してきました。さらに、2023年10月には、庶民の幸福を実現することを目指した新たなインパクトファンドを設立し、ポジティブな社会的影響を創出することにも注力しています。
このように、KIIおよびHelical Fusionの取り組みは、エネルギー問題における革新の可能性を示し、持続可能な未来を築くための重要な一歩と言えるでしょう。