電通「ジャパンブランド調査2024」:海外から見た日本の魅力とは?
電通が世界15の国・地域の20~59歳の7460人を対象に実施した「ジャパンブランド調査2024」では、日本が「観光目的で再訪したい国・地域」1位に輝いたことが明らかになりました。本調査は、2011年の東日本大震災以降、ジャパンブランドの世界における評価を把握するために開始されたもので、今回で14回目の実施となります。
本調査では、訪日観光、日本の食、日本の魅力度、価値観など、多岐にわたる設問から最新のインサイトを分析。今回は、日本が1位を獲得した要因を【期待】【契機】【関心】【地方】【和食】の5つの視点で詳しく見ていきましょう。
1. 【期待】再び訪れたい国・地域1位!日本への期待は?
コロナ禍後の2024年、再び観光に訪れたい国・地域として、日本は34.6%と、シンガポール(14.7%)、米国(13.0%)を大きく引き離し、1位を獲得しました。
海外旅行者にとって、日本への期待は「多彩なグルメ」(28.6%)、「他国と異なる独自の文化」(27.9%)、「他国にない自然景観」(25.6%)の3つが上位を占めています。
特にアジア圏では、日本への再訪意向が非常に高く、東アジアでは58.3%、東南アジアでは52.5%と、2位の国・地域を大きく上回る結果となりました。
2. 【契機】訪日観光の動機は?リピーターが多い理由とは?
訪日観光の最大の理由は「前回日本を訪れて楽しめたので、また行きたいと思ったから」(50.0%)で、約半数がリピーターによる訪日観光を楽しんでいます。
リージョン別では、東アジアで「円安が続いているうちに、行くべきだと思ったから」(44.1%)との回答が、他のリージョンと比べて約20ポイント高いことから、円安も東アジアからの訪日動機となっていることがわかります。
3. 【関心】日本でお金を払って体験したいことは?
訪日観光客が日本でお金を払って最も体験・利用したいものは、「庶民的な和食レストラン」(41.4%)で、次いで「農泊体験」(40.0%)、「新幹線」(37.3%)、「高級な和食レストラン」(36.3%)、「日本の伝統工芸品の購入」(35.9%)となりました。
国・地域別では、日本オリジナルのコンビニ食品や日本製のスナック菓子なども人気が高く、訪日観光における多様な興味関心が明らかになりました。
4. 【地方】地方観光の課題とは?
都道府県別の認知度では、東京都(55.6%)が1位で、過去8年間の調査において上位5位の都道府県に変化はありません。
しかし、訪日外国人が感じる地方観光の障害要因の上位3つは、「言語によるコミュニケーションの不安がある」(36.2%)、「東京や大阪、京都などの都会以外の地方観光地を知らない」(26.7%)、「地方観光地が持つアクティビティに関する情報源が足りない」(26.7%)という結果に。特に訪日経験のない人は、ビギナー層やリピーター層と比べて、言語の不安を感じやすいという傾向が見られます。
5. 【和食】海外で人気の日本食は?
自国における日本食の喫食頻度について、東アジアと東南アジアでは外食・中食が内食よりも高い傾向が見られる一方、欧米豪では大きな差はありません。
帰国後にまた食べたい日本料理は「ラーメン」(26.5%)が最も多く、「刺身」(19.4%)、「てんぷら」(19.0%)と続きます。地域によって人気にばらつきが見られ、「から揚げ」は中東と欧米豪で特に人気が高い一方で、東アジアでは上位10位圏外という結果になりました。
まとめ:日本への期待は高まる一方、課題も存在する
今回の調査結果から、日本は「多彩なグルメ」「独自の文化」「自然景観」など、世界から多くの魅力を感じられていることがわかります。特にアジア圏では、日本への再訪意向が非常に高く、リピーターも多いことから、日本の魅力が広く浸透していると言えるでしょう。
一方で、地方観光における情報不足や言語の不安、海外における日本食の情報不足など、課題も存在します。今後の訪日観光客増加のためには、これらの課題を克服し、より魅力的な観光体験を提供していくことが重要になります。