Z世代の就活新常識:オンライン説明会の重要性
近年の就職活動では、特にZ世代の学生において、会社説明会形式の選択肢として「オンライン」が広がりを見せています。MIL株式会社が実施した最新の意識調査によると、就活生の72%が新卒向け会社説明会においてオンライン形式を重視していることが判明しました。本稿では、この調査結果を基に、オンライン説明会の利点や関連する課題を探ります。
調査概要と対象
この調査は、日本在住で22〜25歳の男女403名を対象に行われました。全員が大学卒または大学院卒で、就職活動を経験した層です。調査は2025年5月にインターネットを通じて実施され、問合せはMIL株式会社が担当しました。
オンライン形式の支持
調査結果によると、会社説明会の望ましい形式として、「オンライン」と回答した学生は72%を超えました。この背景には、パンデミックを経てオンライン化したビジネス環境の変化が大きいと言えるでしょう。また、実際に入社を果たした企業の説明会形式は57.6%がオンラインで行われたことからも、オンラインでの成功事例が増していることがうかがえます。オンラインでも効果的な採用が実現可能であることが確証されています。
Z世代の情報ニーズの多様化
調査の中で、学生が会社説明会で求める情報新たな傾向が分かりました。最も多い要望は、「社風・職場の雰囲気紹介」で35%を占め、続いて「先輩社員のリアルな経験談」が31.8%、「会社全体の事業・ビジネスモデル」が24.6%と続きます。これは、学生が給与や勤務地といった条件だけではなく、自分の将来を具体的にイメージするためのリアルな情報を多面的に求めていることを示しているのです。
そのため、企業は多様化した学生の情報ニーズに応える必要があります。限られた接点の中で、どのように多くの情報を提供し、学生との関係を深めていくかが問われます。
時間帯と情報量のミスマッチ
一方で、興味深いことに、情報収集のピークタイムは午後4時から午後7時59分に集中していますが、多くの企業説明会は日中に開催されています。この時間的なミスマッチは、学生が求める情報の理解を妨げる要因となっている可能性があります。加えて、参加者の37.7%が「後で内容を振り返りたい」と回答し、その理由として「情報量が多く、一度では理解できなかった」との意見が55.9%を占めました。このことは、企業が多くの情報を提供することで逆に学生の理解を阻害していることを示しています。
企業と学生のコミュニケーションギャップ
今回の調査結果は、企業が学生を選ぶ時代から、学生が企業を選ぶ時代へと変わりつつあることを示しています。Z世代の学生は、時間を効率的に使いながら、自分にとって本当に必要な情報を調査し、これに対する感受性が高まっています。したがって、企業は従来の一方通行な情報提供スタイルを見直し、学生の多様なニーズに応えられる形式を模索する必要があります。
このように、オンライン説明会における新たな課題は、企業と学生間のコミュニケーションのギャップを生じさせる原因ともなっています。ただ情報を提示するのではなく、学生が求める内容を的確に理解し、提供することが今後の採用活動において重要になるでしょう。
まとめ
本調査の結果から、Z世代の学生におけるオンライン会社説明会の重視度は高まっており、それに伴う新たなニーズと課題も明らかになりました。今後の採用活動において、企業が学生との効果的なコミュニケーションを実現するためには、情報提供のあり方を見直す必要があります。学生が求める「リアルな情報」をどう届けるかが、採用成功のカギを握るでしょう。