神奈川県とNTT東日本のデジタル化連携の進展
神奈川県と東日本電信電話株式会社、通称NTT東日本の官民連携が、今後の行政業務のデジタル化と改善に向けた新しいステップを踏み出しました。2024年7月12日、両者は人材育成を目的としたダブルワークを活用した連携策を発表しました。この取り組みは、NTT東日本の2名の社員が神奈川県立公文書館の業務に参加し、実際の現場において業務分析や改善提案を行うものです。
採用した人材育成制度とは?
ダブルワーク研修制度を通じて、NTT東日本社員は2024年7月23日から2025年3月24日にかけて、週に1日、合計で約25日間にわたり公文書館における業務に関わります。この間、両者の連携を深めながら、行政文書の評価選別を行うための具体的な業務フローの作成に取り組みました。
業務の現状と課題
県立公文書館では、毎年約25万冊の行政文書が保管されています。これらの文書の中からどれを歴史的公文書として永久保存するかを7名の職員が評価選別するため、膨大な手間と時間がかかっています。このプロセスは、スキルに依存する部分も多く、業務の負担を大きくしています。NTT東日本の社員はこの現状を分析し、業務を圧迫する要因を特定しました。
改善の方向性
そこで提案されたのが、生成AIを活用した評価選別作業です。サンプル文書を用いて、生成AIの導入による評価選別の検証を行った結果、業務削減の効果が期待できることが示唆されました。ただし、精度のさらなる検証が必要であることも認識されています。
具体的な成果
この連携により、神奈川県は実態に即した業務改善の提案を受けることができました。デジタルの専門家による視点から、業務改善に向けた貴重な意見が得られ、DX人材の不足が叫ばれる中で、新たな人材育成の流れが生まれます。一方、NTT東日本の社員にとっても、業務の継続性や関係課とのつながりを意識した実践的な経験が得られ、DX推進に必要な合意形成スキルも向上しています。
今後の展望
この取り組みは第一弾に過ぎず、来年度には第二弾の取り組みを実施できるよう、県とNTT東日本がさらなる調整を進めています。テーマや派遣員数の決定を行いながら、持続的な業務改善を目指していく方針です。
角度を変えた官民連携の実践が、今後のデジタル化の進展をどのように促すのか、引き続き注目される局面となるでしょう。