インボイス制度に関する実態調査
フリーランスマッチングプラットフォーム『Lancers』を運営するランサーズ株式会社が、フリーランス向けの「インボイス制度」に関する実態調査を実施しました。対象はランサーズに登録しているユーザー617名。この調査では、インボイス制度に対するフリーランスの認識や対応状況、そして課題について分析が行われました。
調査結果の概要
1. 登録率は約3割
フリーランスのうち、インボイス発行事業者として登録しているのは28.7%に留まっています。この結果から、多くのフリーランスが制度の登録を考慮していないことが浮かび上がります。手続きの複雑さや、制度の必要性に対する疑問が背景にあると考えられます。
2. 法人化はわずか1.4%
インボイス制度に対応するために「法人化」を選んだフリーランスはわずか1.4%で、多くは「研修やセミナーに参加する」(26.9%)や「会計ソフトを導入する」(16.9%)といった対応をしています。つまり、制度に対する理解を深めることが優先され、大掛かりな対応には踏み切らない傾向が見受けられます。
3. 登録のメリットが乏しい
インボイス登録後に「特になし」と回答したフリーランスが66.2%に達する一方で、取引先との信頼強化(19.0%)や透明性向上(10.3%)という意見も見られました。しかし、全体的には期待される効果は限られている様子です。
調査の詳細
登録していない理由
未登録のフリーランスに理由を尋ねたところ、最も多かったのは「経済的なメリットを感じない」(20.5%)でした。事務負担の増加や制度の理解不足も理由として挙げられ、登録へのハードルが高い現状が確認されました。
登録意向の変化
「登録予定がない」との回答が51.9%を占めた中で、45.4%は「条件が整えば登録を検討したい」と考えています。これにより、サポートがあれば登録者が増加する可能性が示唆されています。
業務量の増加感
インボイス制度の対応による業務量は、半数以上が「30分未満」と回答。また、取引先からの発注量は71.8%が「変わらない」と回答し、制度が実際のビジネスに大きな影響を及ぼしていないことが示されました。
フリーランスが求めるサポート
フリーランスがインボイス発行事業者登録時に求めるサポートとしては、「シンプルな手続きガイド」(19.2%)や「税務や経理の入力サポート」(15.2%)などがあります。手続きの複雑さを軽減し、登録を後押しする支援が求められています。
総括
今調査から、多くのフリーランスがインボイス制度導入に対して効果を実感できていないことが明らかになりました。その一方で、理解促進や手続きの簡素化により、登録者数が増加する可能性が残されていることがわかります。このような状況から、フリーランスにとって実質的なメリットを実感できる制度の構築が今後の課題であると考えられます。
調査詳細
- - 調査期間:2024年10月28日〜11月1日
- - 対象者:ランサーズに登録しているユーザーのみ
- - 調査方法:オンラインアンケート
- - 有効回答数:617名
会社情報
ランサーズ株式会社(東証グロース:4484)は、個人と企業の発注マッチングをオンラインで行うプラットフォームを展開しています。フリーランスの支援や新たな働き方を促進し、より良い社会の構築に貢献しています。