ヤマトホールディングスと富士通、共同輸配送プラットフォームの提供を開始
2025年2月1日より、ヤマトホールディングス株式会社の傘下、Sustainable Shared Transport株式会社(以下、SST)と富士通株式会社は、共同輸配送のオープンプラットフォーム「SST便」の提供を開始します。この取り組みにより、物流業界の標準化と効率化を目指します。
「SST便」の背景と目的
SSTは2024年5月の設立以来、持続可能なサプライチェーンを構築すべく、リアルな標準パレット輸送とデジタルな物流情報の連携を準備してきました。「SST便」は、様々な荷主企業と物流業者をマッチングし、共同輸配送を可能にするサービスです。
現代の物流業界は、気候変動や輸送力不足などのさまざまな課題に直面しており、企業は効率化を進める必要に迫られています。また、2025年4月以降には、労働法改正により、荷主企業や物流事業者には物流効率化の努力義務が課されるため、特に迅速な対応が求められています。これらの背景を受けて、業界の垣根を越える新しいアプローチとして、SSTの設立が行われました。
SST便のシステムと機能
「SST便」は、富士通の「Fujitsu Unified Logistics」によるデータ基盤を活用しています。これは、荷主企業が出荷計画や荷物量、梱包状態などの情報を入力し、物流事業者の運行計画と照合することで最適な輸配送計画を作成します。荷主企業は新たなパートナーを探す手間なく、効率的な輸送を実現することができるのです。
さらに、データ連携の「物流情報標準ガイドライン」に準拠した本プラットフォームは、業種間の情報交換を容易にし、迅速な意思決定を可能にします。これにより、荷主企業や物流業者同士がより効率的に協力し、運送手段や配車計画の迅速な決定が期待されます。
ブロックチェーン技術による安全性確保
プラットフォームは、富士通のブロックチェーン技術を利用し、データ連携のセキュリティを確保します。これにより第三者によるデータ改ざんを防止し、コンプライアンスの強化に寄与します。
幹線輸送の構築と今後の展望
SSTは宮城県と福岡県間での幹線輸送を1日16便運行し、標準パレットスペースを利用した「定時運行」や「混載」のサービスを提供します。また、地域の物流事業者と連携し、顧客の要望に応じた配送サービスも展開する予定です。
今後、ヤマトグループと富士通は、170万社を超える法人顧客や3,500社以上の物流事業者との連携を強化します。これにより、新たなビジネスモデルを構築し、持続可能なサプライチェーンの実現を目指していきます。さらに、2056年までに80路線への拡大を計画し、トラックだけでなく鉄道や船舶を含めたマルチモーダル輸送の推進も行います。
これらの取り組みによって、SSTと富士通は業界全体の効率化を進め、持続可能な物流を実現するための模範となることを目指しています。今後は業種を越えた協力体制を整え、様々な課題解決に貢献することが期待されます。