葛飾区町工場の進化
2023-01-26 10:24:20
東京理科大学との共同研究で量子アニーリング技術が進化した葛飾の町工場
東京都葛飾区にある有限会社ケイ・ピー・ディは、近年のテクノロジーの進化に向けた重要な成果を上げました。同社は東京理科大学との共同研究を通じて、疑似量子アニーリング技術の最適化を実現しました。この技術は、複雑な計算問題を効率的に解決するためのものであり、その名の通り量子コンピュータの特性を利用しています。
共同研究は2016年に始まり、同社は当時東京都葛飾区が提供する「インキュベーションルーム」内に研究室を設けて活動をスタートしました。その後、技術進化を目指して、専門分野での研究と製品開発を並行して進める姿勢を貫いてきました。
今回、同社はIntel製半導体FPGAのMAX10を用いた144Spinの実装に成功しました。これまでの研究では16Spinまでしか扱えなかった容量を大幅に拡張し、今では144Spinに対応できるようになったのです。これにより、より大規模で高度な計算処理が可能となり、様々な分野での応用が期待されています。
この研究の基礎となったのは、東京理科大学の河原尊之教授が開発した全結合型のアルゴリズムです。これに基づき、有限会社ケイ・ピー・ディはFPGAの実装最適化技術を駆使して、従来の限界を打破しました。
さらに、同社は2021年以降、葛飾区の「新製品・新技術開発補助金」を活用して研究を加速させています。この補助金は地域の製造業を支援するためのものであり、研究開発の資金面での助けとなっています。今後は、さらに大規模なFPGAの導入や、複数のFPGAを組み合わせた拡張が視野に入っているとのことです。
加藤木一明代表取締役は、「量子コンピューターの研究と普及に寄与できるよう、今後も教育と物流展開に力を入れ、精度の向上に努めていく」との思いを語っています。また、パートナー企業との連携や資金調達を視野に入れた研究開発を進める意欲を示しました。
この重要な技術革新は、2月16日と17日に開催される「葛飾区町工場見本市」で発表される予定です。同社は展示内容については未定ですが、今回の成果を多くの人々に知ってもらう機会となるでしょう。
有限会社ケイ・ピー・ディは、創業以来、基板設計・製造を軸にした開発請負を得意とし、大学との協力による共同研究や産学公連携事業にも注力しています。これからの技術進化に期待が寄せられています。
会社情報
- 会社名
-
有限会社ケイ・ピー・ディ
- 住所
- 東京都葛飾区細田5-22-10
- 電話番号
-
03-3659-8899