ミドルシニアの転職市場の変化
パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「Doda(デューダ)」は、2024年版の「ミドルシニアの転職実態レポート」を公表しました。このレポートは、2023年から2024年に「Doda」に登録した45歳から60歳までの転職希望者のデータをもとに、ミドルシニアの転職市場の実態を探るものです。レポートを元に、ミドルシニア事業企画部のゼネラルマネジャーである石井宏司氏が解説します。
登録者の傾向
2024年のミドルシニアの新規登録者数は、2023年比で約118%の増加を見せ、これは2020年から4年連続での増加となります。特に、医療関連の業種において顕著な伸びがありました。具体的には「医薬品・医療機器・ライフサイエンス・医療系サービス」が前年比125.6%の増加を果た果たしています。職種面でも「医療系専門職」が135.9%と高い伸びを示しました。
この傾向には、氷河期世代のミドルシニアが増加し、より安定した職場環境を求める動きが大きく影響していると考えられます。具体的には、役職定年のない企業や定年延長を取り入れた企業への転職志向が強まっているのです。
また、「教育」や「公社会」「官公庁」関連の登録者数も増加しており、この中でも特に「学習塾や予備校」での登録者が目立ちました。これらの業種は、コロナ禍以降の教育需要の変化から利用者が増えたため、ミドルシニアの流入も進んだと言えます。
転職決定者の傾向
次に、2024年のミドルシニアの転職決定者数について見てみましょう。2024年は、2023年比で約107%の増加、さらに2019年比では約2倍に達しています。特に「人材サービス・アウトソーシング・コールセンター」が136.0%の増加を見せており、こちらもミドルシニアの知識と経験が重宝されている成果によるものです。
「販売・サービス職」でも135.9%の増加が確認され、特に「店長」や「ホールスタッフ」の採用が進んでいます。この背景には、最近の物価上昇によるスーパーやディスカウントストアの需要が高まったことが挙げられます。
一方で、「コンサルティング・専門事務所」関連は前年比83.3%の減少が見られ、特にDX関連業務が落ち着いていることが影響しています。これにより、企業は若手層の採用にシフトしているとのことです。
ミドルシニアの転職市場の展望
今後のミドルシニアの転職市場について、石井氏は、各業界における構造改革やM&Aなどが影響し、労働移動が今後も増加する可能性があると指摘しています。特に製造業の変化やIT分野での人材不足が、ミドルシニアにとってのチャンスになるでしょう。
教育、医療、サービス業などの現場で経験を積んできたミドルシニア層の需要は高まっており、全体的に2025年までに転職希望者数や決定者数が増える見込みです。
まとめ
「Doda」が発表したレポートは、転職希望者にとっての様々な機会を映し出しています。ミドルシニアの登録者数と転職決定者が増加していることは、今後の転職市場における新たな可能性を示唆しています。ミドルシニア層が新たなキャリアに挑戦する環境が整いつつある今、各自のキャリアプランを考える良い時期と言えるでしょう。