女性社員84％の化粧品ベンチャーの新しい職場づくり事例

誰も辞めない職場の実現

名古屋市に本社を置く株式会社未来は、女性社員84％を誇る化粧品ベンチャーとして注目されています。特に注目すべきは、2020年から3年連続で産休・育休復帰率100％を達成し、その成果を実現するための取り組みです。実際、育休後3年以内の離職率を、全国平均の40％に対してわずか5％に抑えています。

離職が企業にもたらす影響

日本では第一子を出産した際に約半数の女性が職場を離れる現実があります。さらに育休から復帰して3年以内に4割が退職するという厳しい統計も存在します。制度が整っていても、「復帰した後の居場所がなくなるのでは」「キャリアが停止してしまうかも」といった不安が、多くの女性従業員の復帰をためらわせています。

当社では一人の離職が約300万円の採用・教育コストを引き起こすとの試算があり、年間で4名の離職があれば1,200万円の損失と、スキルや信頼関係の喪失が企業に与える影響は計り知れません。

復帰率100％の秘密

株式会社未来が3年連続で産休・育休から復帰率100％を達成できた理由は、単に制度が整っているだけでなく、社員一人ひとりに寄り添った3つの仕組みにあります。

1. リモート勤務制度

夫の転勤などによる居住地の変化に対応し、同職種での継続勤務が可能となるリモート勤務制度を導入。遠方に住む社員にとっても、オンラインツールを活用した働き方が実現されています。

2. 子育て支援の時短勤務制度

一般的に3歳までの時短勤務制度を、小学校卒業まで延長しました。子どもの成長や家庭の状況に応じて柔軟な働き方が選べるようになっています。

3. 「ママランチ会」の開催

会社が負担するランチ会「ママランチ会」では育休前後の社員がリラックスしながら悩みを共有できる場を提供しています。先輩社員の体験談を聞くことで心理的なハードルが下がり、お互いに支え合う文化が育まれています。

日本の社会を変える力

野村総合研究所による試算では、女性の労働参加が進むことで日本のGDPが約15％押し上げられる可能性があるとされます。株式会社未来は、愛知県の「あいち女性輝きカンパニー」および名古屋市の「女性の活躍推進企業」として認定され、地域における新しいダイバーシティ経営のモデル企業として注目されています。

代表取締役山口俊晴のメッセージ

「女性が辞めない会社は、男性も辞めない会社。多様性を活かす経営が、最も強い組織を作ると信じています。」彼のビジョンは、当社が提供するスキンケアブランド「I'm PINCH」へも引き継がれています。ブランドのメッセージは「ピンチは、私を愛し、開放するサイン」であり、子育てやキャリアの課題を受け入れ、自分を見つめ直すチャンスに変えようという願いが込められています。

プロダクトと企業理念

「I'm PINCH」は累計404万本の販売を記録しており、多くの人に愛されている商品です。働き方と美容の両方において、自分自身を大切にするための取り組みを続け、誰もが輝ける未来を追求し続ける意志を持っています。このような企業の活動が、今後の日本社会における雇用環境にポジティブな変化をもたらすことでしょう。