廃タイヤ再利用の革新
近年、環境意識の高まりとともに、廃タイヤのリサイクル方法が注目されています。その中で、日東化工株式会社が新たに取り組んでいる再生ゴムマットの開発が話題を呼んでいます。神奈川県高座郡寒川町に本社を構える日東化工は、廃タイヤを原料とする「テクスチャーマット」と「ソリッドマット」の2種類の再生ゴムマットの並行生産スキームを開発しました。この取り組みは、資源循環に寄与する重要なステップとされています。
日本の廃タイヤの現状
日本国内では、毎年約100万トンの使用済みタイヤが発生していますが、その66%がCO2を排出する燃焼によって処理され、わずか15%がマテリアルリサイクルされています。残念ながら、マテリアルリサイクル率が低いのは、再生ゴム製品の競争力の不足が主な原因とされています。
日東化工の新たな実証プロジェクトは、まさにこの問題を解決することを目的としています。使用済みタイヤ由来のリサイクルゴムを使用した、競争力のあるマットを生産することで、リサイクル率を向上させることを目指しています。
新たなゴムマットの特長
本実証では、耐摩耗性、耐スリップ性、耐水性に優れた2種類の足場用再生ゴムマットが開発されます。これにより、資源循環市場を創出するとともに、生産性を向上させ、それに伴ってコスト意識を新たにすることを目指します。特に販売価格は従来の製品の約2/3ほどに抑えることが期待されています。
日東化工は、2031年には年間で1,500トン以上の使用済みタイヤを原料とし、テクスチャーマットを4万枚以上、ソリッドマットを8,500枚以上製造する計画です。この取り組みによって、年間2,607トンのCO2排出を抑制する狙いがあります。
廃棄物の減少と資源循環の実現
一般にゴムの製造過程では廃棄物が発生し、これを処分するにはコストがかかるため、排出事業者が処分費を負担しているのが実状です。しかし、日東化工では、廃材を新たな製品に再利用することで、廃棄物を大幅に減少させる取り組みを進めています。また、ソリッドマット製造で内部的に発生する対廃材もテクスチャーマットに活かすことで、埋め立てをゼロに抑える計画です。
経済産業省の補助金採択
この実証プロジェクトは、経済産業省の補助金を受けており、「令和6年度 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」のもと、脱炭素化と経済成長を両立させる取り組みとして大きな注目を集めています。
実証の進行状況
この実証プロジェクトは2025年3月に開始され、日東化工の本社および湘南工場で行われます。新たな製造ラインの設計と開発を経て、予定では2026年9月に稼動が始まる見通しです。
今後の展望
日東化工は、テクスチャーマットやソリッドマットをレンタル業者に提案することで、新たな資源循環市場を開発していく意向を示しています。これにより、業界全体の廃棄物削減にも寄与し、それが持続可能な社会の実現に繋がることを期待しています。
日東化工のこの革新的な取り組みは、未来のための重要な一歩となることでしょう。