オンライン診療の導入状況と獣医師の意識調査
2025年12月、全国の動物病院を対象に実施された調査によると、なんと獣医師の約2割がオンライン診療を導入していることが明らかになりました。この調査は、日本獣医オンライン診療研究会(JVTS)が行い、オンライン診療の普及状況や質の向上に関する実態を詳しく探るものです。
調査結果の概要
この意識調査は全国107の動物病院を対象に、オンライン診療の実施状況やその影響、さらには現場での課題について尋ねました。最も驚くべき結果の一つは、オンライン診療を導入している獣医師の約90%がその診療の質が「変わらない」か「向上する」と答えていることです。これは、彼らがオンライン診療を重要なツールとして位置づけている証でもあり、この技術が実際の診療シーンでどのように役立っているのかを示すものです。
一方で、オンライン診療未導入の獣医師の中には、診療の質が「やや低下する」「大きく低下する」と不安の声を上げている方が多く、導入の経験が診療に対する評価に大きく影響を与えていることがわかります。このように、運用の実際を経験している獣医師と、そうでない獣医師との間には、大きな意見の隔たりが存在しています。
オンライン診療の利点と課題
調査によれば、導入の主な理由として「再診や経過観察の効率化」が挙げられており、特に再診の際にオンライン診療が効果的であると多くの獣医師が認識しています。ただし、同時に「診断精度」の問題が大きな懸念材料として浮上しており、「身体検査ができないことから誤診リスクが生じる」という意見が共通して見られました。
特に、導入済みの獣医師は32%、未導入の獣医師は48%が「誤診リスク」を最も不安に感じていると回答しています。このことから、オンライン診療の今後の課題として、診断の正確性をどう保つかが重要なテーマとなるでしょう。
初診制限についての意見
また、初診時におけるオンライン診療の制限に関しては、導入済みの獣医師の32%が「運用の拡大が必要」と感じています。これは、オンライン診療が幅広いケースに対応できる可能性を秘めていることを示唆しています。未導入の獣医師の41%が「わからない」と回答していることも、オンライン診療への理解がさらに深まることが期待されます。
結論と今後の展望
今回の調査結果から、オンライン診療は効率的な手段としての可能性を持っていることが明確に示されました。しかし、実際の運用や診療の質に対する懸念も依然として残っています。日本獣医オンライン診療研究会は、これらの結果を真摯に受け止め、獣医師が安心してオンライン診療を実践できるような環境作りを推進していきます。今後、運用の拡大や誤診リスクへの対策を盛り込んだ情報提供や認証制度の構築を進めていくことが求められています。
この調査を契機に、さらなる議論が進むことを期待するとともに、オンライン診療が獣医療の新たなスタンダードとなることを願っています。