J-BMPによる日本の海洋生物多様性可視化プロジェクト
株式会社シンク・ネイチャーが運営する「J-BMP(日本の生物多様性地図化プロジェクト)」が、新たに日本の海洋生物多様性を高解像度で可視化したマップを公開しました。このプロジェクトの目指すところは、持続可能なブルーエコノミーの推進と、ネイチャーポジティブな方針の策定に科学的な指針を提供することです。新しいマップは、沿岸地域から深海域に至るまでの生物多様性を詳細に示すもので、特に保全が重要な地域の特定を行っています。
1. 日本の海域を3つのエリアに分類した評価
このプロジェクトでは、日本の広大な領海と排他的経済水域(EEZ)を三つのエリア、すなわち沿岸域、沖合域、深海域に分類し、それぞれの生物多様性を高解像度で可視化しました。
沿岸域
沿岸域は陸地から10km以内の範囲で、ここでは海産哺乳類や海鳥類、魚類など、合計14の分類群の生物が対象となります。シンク・ネイチャーは、これらの生物の生息状況を10kmメッシュ単位で精緻に予測し、それぞれの種数地図を作成しました。
沖合域
沖合域は水深200m以上の海域に該当し、ここではクジラやウミガメ、魚類、頭足類など、5つの分類群の多様性を可視化しました。沖合に特有の多様性パターンを明らかにすることを目指しています。
深海域
深海域においては、これまでデータ取得が難しかったため不明点が多く残されていましたが、現在確認されている全ての分類群のデータを基に多様性マップを作成しました。
2. 重要エリアの数値化を可能にした独自のシステム
「どの海域を保全することで生態系の絶滅リスクを最も軽減できるのか」という観点から、最高科学責任者であるアッテ・モイラネン博士が開発した「Zonation」というプログラムを使って、海域ごとの重要度を数値化しました。このプログラムにより、特定の種に偏ることなく、生物全体のバランスを考慮した「本当に守るべき重要な海域」を抽出することができました。
沿岸の重要エリア分析
沿岸域に生息する14の分類群それぞれの重要海域を特定し、全分類群を統合して保全優先マップを作成しました。この結果はすでに公開されています。
沖合の重要エリア分析
沖合域でも、5つの分類群の重要海域を特定しました。これにより、沖合における保全優先地図も完成しました。
新しいマップがJ-BMP上で閲覧できるようになることで、企業や自治体は海洋活動と生物多様性との関係を明確に把握できるようになり、保全地域の設定や透明性の高いリスク管理へとつながります。
J-BMPについて
「日本の生物多様性地図化プロジェクト」(J-BMP)は、2020年に開発されたビッグデータを可視化したWebアプリケーションです。生物多様性に関するデータ整備とそれを分かりやすく示すインターフェースの構築が評価され、日本地図学会から作品・出版賞を受賞しています。
J-BMPの詳細は
こちらからアクセスできます。