画期的な腸内環境改善の研究成果
アサヒグループ食品株式会社と三菱ケミカル株式会社は、腸内環境を改善する画期的な研究成果を発表しました。この成果は、2024年に名古屋で開催される日本食品科学工学会第71回大会での発表が予定されています。その研究は、酵母細胞壁と有胞子性乳酸菌の組み合わせが腸内環境に与える影響を明らかにするものです。
研究の背景
アサヒグループ食品では、「パン酵母由来の酵母細胞壁」の有効活用に関する様々な研究が進められています。この酵母細胞壁は、腸内細菌が食物繊維を利用する際の重要な材料となり、特に短鎖脂肪酸を生成することが知られています。これにより、腸内環境を改善するばかりか、他の臓器の健康にも寄与する可能性が示唆されています。
一方、三菱ケミカルが開発した「有胞子性乳酸菌Weizmannia coagulans SANK 70258」は、耐熱性や耐酸性が高く、腸まで生存して到達できる乳酸菌です。この乳酸菌は、免疫機能の調節や皮膚の状態改善に加え、腸内フローラの改善にも寄与することが期待されています。
研究方法
今回の研究では、健常者から採取した便を用いたin vitro培養系を使用し、酵母細胞壁と有胞子性乳酸菌の組み合わせの効果を評価しました。具体的には、便サンプルを培地に混ぜて評価サンプルを加え、48時間の嫌気培養を行いました。培養後、抽出したDNAと代謝物質を解析し、腸内フローラや短鎖脂肪酸の変化を評価しました。
研究結果
酵母細胞壁の効果
まず、酵母細胞壁単独での効果を確認しました。その結果、培養液中の短鎖脂肪酸の濃度が、有意に増加したことが明らかになりました。特に、酢酸やプロピオン酸、酪酸の値が上昇し、腸内フローラの多様性も確認されました。さらに、酵母細胞壁が腸内の特定の細菌を増やす仕組みも解明されています。
併用効果
酵母細胞壁とW. coagulans SANK 70258を併用した場合、酪酸の産生がさらに強化されることが確認されました。この組み合わせにより、腸内フローラにおける多糖分解菌や酪酸産生菌が増加し、効果的な相乗作用が示されました。これにより、腸内環境改善への期待が高まっています。
今後の展望
今回の研究によって、酵母細胞壁とW. coagulans SANK 70258の組み合わせが腸内環境に与える影響が明らかになりました。今後は、これらの成分が健康維持にどのように寄与するのかをさらに深く研究していく予定です。
これらの実験結果は、腸内環境改善の新たな可能性を示唆しており、今後の研究に大変期待が寄せられています。