最年少受賞者による感動の小説
本日、兵藤るりによる初の小説『カレンダーのない家』がついに刊行されました。兵藤は、向田邦子賞を最年少で受賞した気鋭の脚本家であり、本作は彼女の新たな挑戦としてファンから期待が寄せられています。
幼い頃からのトラウマ
本書の物語は、母の死という衝撃的な出来事から始まります。主人公は、幼い頃から苦手であった母の死をネットで知り、母の葬儀で16年ぶりに妹と再会することになります。母の葬儀という厳粛な場で、感情が甦る中で二人の姉妹がどのようにそれぞれの思いを抱き寄せていくのか、物語は丁寧に描かれています。
亡き母からのメッセージ
物語の舞台となるのは、母が「未来のことなんて考えても仕方ないわよ」と言っていたため、カレンダーのない生活をしていた家庭。葬儀の後、母の遺品から発見されるのは一通の手紙とカレンダーです。この手紙には、母が母親として果たせなかった後悔が綴られ、そして姉妹に与えられた願いとは、これからの一年間、カレンダーに刻まれた家族の予定を共に果たしていくというものでした。
この手紙を通じて描かれる姉妹の再生の物語は、さまざまな家族の形を考えさせられます。心に重くのしかかっていたトラウマとは何か。姉妹はお互いにどのように向き合い、理解を深めていくのか。物語は、深い感動を呼ぶことでしょう。
多様な感想が寄せられる
著名人や書店員からも感想が寄せられています。脚本家の坂元裕二さんは、「嫌いだった人と旅行に行ったら意外と仲良くなれた。それも人生のご褒美」と、この作品のテーマを象徴するような言葉を口にしています。また、紀伊國屋書店の宗岡敦子さんも「心がゆっくりと通い合っていく温かな空気感」と語り、家族の絆を温かく描く作品であることを強調しました。
一方で、家族の定義についての難しさも指摘されており、未来屋書店の石坂華月さんは、「血の繋がりがあっても心の距離があれば、家族とは言えないこともある」という見解を述べています。これにより、作品が多面的な感情を引き起こすことが伺えます。
読者への特典
さらに、サンマーク出版の公式LINEに登録することで、なんと本作の第1章を無料で試し読みできる特典も提供されています。興味のある方は、ぜひ公式LINE登録をお試しください。
兵藤るりのプロフィール
兵藤るりさんは1996年に東京都に生まれ、大学を中退後には東京藝術大学大学院で映像研究に取り組み、脚本家としての道を歩み始めました。彼女の作品の評価が高く、連続ドラマ『マイダイアリー』で向田邦子賞を受賞したことが、今回のデビュー小説『カレンダーのない家』へと繋がります。
書誌情報
- - 書名: 『カレンダーのない家』
- - 著者: 兵藤るり
- - 発行: 株式会社サンマーク出版
- - 発売日: 2025年10月22日
- - 定価: 1,760円(税込)
この作品は、家族の絆や再生をテーマにした物語です。ぜひ、手に取ってその深い感動を味わってみてはいかがでしょうか。