estieによる不動産売買仲介業務のデジタルトランスフォーメーション
株式会社estie(以下、estie)は、東京都港区に本社を構え、日本最大級の商業用不動産データ分析基盤「estie マーケット調査」を中心に多様なサービスを展開しています。この度、同社は不動産売買仲介業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、新たに生成AIを活用したサービスの開発を開始しました。
新サービスの目的と展望
今回の新サービスは、不動産売買仲介業務において発生する煩雑な情報整備や取引のマッチングプロセスをデジタル技術およびAI技術で効率化し、取引の迅速化を図ることを目的としています。具体的には、物件情報や顧客情報を統合的に管理することで、売主と買主間のマッチング精度を向上させ、業務負担を軽減する仕組みを提供します。これにより、専門知識を持ったプロフェッショナルの業務もよりスムーズになります。
先行導入企業として三菱地所リアルエステートサービス(本社:東京都千代田区)と連携し、実証実験を通じてさまざまなテーマについて共同研究を進めています。
不動産仲介業務の現状と課題
不動産売買仲介事業では、多種多様なアセットの売買情報が日々流通しており、大手仲介業者では年間数万件の情報が発生しています。物件の売主から提供される情報は、物件を中心としたデータベースに蓄積され、購入希望者の情報はCRMツールに保存されます。このように、情報が分散しているため、最適な取引を成立させるためには、迅速なデータ化と資料提供が不可欠です。
しかし、これまでのシステムではデータの柔軟な連携が難しく、売主と買主の情報が分散管理されることで、業務効率が低下していました。estieは、こうした課題を解決するべくデータ分析技術を活用した新たなプラットフォームを構築することを目指しています。
開発する具体的なサービス内容
estieの新たな業務基盤システムは、物件データ基盤の刷新を行います。具体的には、独自のAI・データ解析技術を駆使し、売主からの物件情報や公法規制に関するデータを効率的に蓄積・連携できる環境を整えます。これにより、売主情報の登録業務が半自動化され、業務効率が90%以上向上することが期待されています。さらに、estieが提供するマーケットデータを活用することで、より洗練されたマーケット分析が可能になります。
加えて、Salesforceなどの顧客管理サービスとのシームレスな連携を実現し、物件情報と購入ニーズのマッチングを加速します。これにより、売買仲介業務全般の効率化、売却物件の登録数増加、顧客への情報提供リードタイムの短縮、成約率の向上などに寄与することが見込まれています。
結論と今後の展望
estieの新サービスは、三菱地所リアルエステートサービスが先行導入企業として運用を開始する予定であり、今後もデジタルトランスフォーメーションを進めるために、既存システムでは難解だった商業用不動産業の経営課題に対する解決策を提供していく方針です。これからも不動産業界全体のデジタルシフトを推進し、業務の効率化とコアビジネスの高度化を目指します。