NECと共同開発した新しいメディアコンバータ
日本国内の製造業が直面する課題が増加している中、NECと株式会社コンテックが新型メディアコンバータを共同開発しました。この製品は、ExpEther無線IPコア技術を採用した、先進的な無線通信を実現しています。
製造業の新たな挑戦
新型コロナウイルス感染症の拡大や急速な気候変動により、製造業界は変革を求められています。リモートワークへの対応やサプライチェーンの分断、環境に配慮した設備投資といった課題が数多く発生しています。これらの挑戦に応じて、デジタル技術を活用したDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進められているのです。
工場の自動化や省人化、新たな製品・サービスの拡充を実現するためには、次世代のスマート工場が必要です。そのためには、制御装置のモジュール化、柔軟な工場レイアウト、そしてタイムロスのないクラウド連携が求められます。しかし、無線通信を如何にして安全かつ効果的に運用するかという課題も存在していました。
ExpEther無線IPコアによる通信の革新
開発されたメディアコンバータは、NECが誇る「ExpEther」無線IPコア技術を利用し、複数の電波を同時に扱うことができるよう設計されています。この技術により、安定した高速低遅延の通信が実現されており、特にFA(Factory Automation)機器において信頼性の高いデータ転送が可能です。
DECT(デジタルコード化された電話技術)を用いることで、FA機器による電波の反射や減衰といった環境下でも通信の安定性を維持します。このため、工作機械やロボットなどのミッションクリティカルな機器への無線導入もより簡単になります。
特徴的な機能
このメディアコンバータには、以下のような特徴があります:
- - 有線LANから無線化:多様なプロトコル(PROFINET、EtherNet/IP、CC-Link IE Field Basic)をスルー転送。
- - 高速と信頼性の両立:ExpEther独自の符号化方式により、複数の周波数帯域を効果的に利用。
- - デジタル信号の無線化:親機と子機間で最大8つの信号がワイヤレスで転送可能。
- - Ethernetフレーム転送:LANと無線ネットワーク間でのスムーズなデータ転送を実現。
- - 簡単な設定:複雑なネットワーク設定なしで運用でき、高いセキュリティを保証。
- - 柔軟性の高い設置方法:設置環境に合わせた多様な取り付け方が選べます。
- - 広範囲の耐温度:-20~60℃の環境で使用でき、様々な現場に対応。
NECの声
NECのデジタルプラットフォーム事業部の部長、門井忠茂氏は本製品について、「ExpEther無線の優れた特性を生かし、業界のミッションクリティカルな機器における無線導入を容易にし、DX実現に向けた価値創造を目指していきたい」と述べています。
さいごに
今回のNECとコンテックによる共同開発は、製造業界におけるデジタル化を加速させるだけでなく、未来のスマート工場を実現する技術革新の一端を担っています。今後、このメディアコンバータがどのように業界に貢献していくのか、その動向が注目されます。