能の魅力を再発見するガイドブック
日本の伝統芸能、特に能は、しばしば「眠くなる」「難しい」という誤解から敬遠されがちですが、これこそが本来の魅力を知らない人々の声とも言えます。能楽堂の元館長、中村雅之氏が著した新刊『これで眠くならない!能の名曲60選』は、この誤解を解消するための素晴らしいガイドブックです。
この本は、能を音楽(囃子)、歌(謡)、動き(舞)の3つの要素で捉え、初心者にもわかりやすく、具体的な楽しみ方を提案しています。イラストや写真を用いながら、まるで実際に舞台を観ているかのような臨場感を味わうことができるのです。
初心者にも優しい鑑賞ガイド
本書では、能を観るための「眠くならない指数」や「上演頻度」などのユニークな指標を設け、各曲の評価を行っています。これにより、初心者でも自分に合った曲を見つけやすくなっています。また、能楽堂での鑑賞における心地良さを理解するためのポイントも示されており、温かみのある指南が魅力です。
能を支える周辺情報
能そのものだけでなく、装束や楽器、能面といった周辺の要素についても丁寧に解説されており、なんでこれが能に必要なのか、その背景にある文化や歴史についても学ぶことができます。このように、深い知識を持ちつつも楽しめるアプローチが、新しい理解をもたらしてくれます。
著者中村雅之のメッセージ
中村雅之氏は、「能はそもそも楽しむものであり、『勉強』するためのものではない。ただ、どう楽しめばよいのかを知らない人が多いのが現状」と語っています。そのため、読者は単に曲を楽しむだけでなく、能の文化的な側面や歴史的な背景にも触れることができるのです。
すべての人に勧めたい一冊
能の演目を観ることはもちろん、技術的な美しさやその奥に流れるストーリーを理解することは、観客にさらなる感動を与えるでしょう。著者も「眠くなったら寝てもいいんですよ」と、気軽に楽しんでほしいという思いを込めています。
この書籍は、2017年に初版が出版され、2025年に重版が予定されています。新しい視点から能を再発見したい方や、これから能を観てみようと思っている方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。能の魅力を知り、楽しむきっかけを提供してくれるこの本は、あなたの生活に新たな彩りを加えてくれることでしょう。
まとめ
能という日本特有の伝統芸能を理解し、その楽しさを多くの人に伝えようとする中村氏の熱意が込められた『これで眠くならない!能の名曲60選』。この本をきっかけに、能の世界を深く理解し、新たな感動を体験してみませんか?