bestatが特許を取得した新技術
産業用の3Dデータに特化したbestat株式会社が、新たに開発した点群・メッシュから円筒形状を高精度に自動的に検出する技術について、日本国内で特許を取得しました。この技術により、欠損や遮蔽の影響を受ける状況下でも必要な円筒を的確に抽出し、3D CADデータ(ソリッドデータ)として即座に利用できるようになります。
円筒検出技術が重要な理由
製造やインフラ・プラント分野では、配管、ダクト、タンクなどの「円筒形状」が頻繁に見られます。これらは現場を3Dで再現する際、デジタルツインの構築に不可欠と言える要素です。しかし、従来の円筒検出技術は、複数の配管が重なった場合などに誤検出が多発するため、正確な3Dデータを得るためには現場作業者の手による修正作業が必須でした。
最新の特許技術は、以下のポイントで従来技術を上回る進化を果たしています。
1. 円筒抽出の高精度化
この新しいアルゴリズムでは、実用性が低かった従来手法に対して、視覚的に“正しい円筒”のみを抽出する精度が10倍以上向上しています。そのため、手作業による3Dデータの修正作業は大幅に減少します。
2. 構造物の影響を受けない検出
壁際や埋設部分、遮蔽物の裏側など、360度全方位からの計測が難しい状況でも円筒の形状を推定し、再現する能力があります。点群データが部分的に途切れていても、その「円筒らしさ」を正確に表現できます。
3. CADデータへの即時変換
検出された円筒は、3D.Coreを使ってそのままCADデータ(ソリッドデータ)に変換可能です。これにより、従来のような手動によるモデリング作業は不要となり、効率的なデータ活用が期待されます。
活用シーンの例
この特許技術は、以下のようなシーンで幅広く活用されています:
- - プラントや工場の配管モデリング
- - インフラ点検、現況調査、施工性の確認
- - 配線や配管図面の更新作業
- - 工場ラインや設備の配置シミュレーション
この技術によって、従来の目視での点群データに基づくCAD作成の工数(数時間から数十時間)を大幅に削減することが可能です。また、将来的にはAIエージェントが現場データから自動的にCADを生成する際のコア技術としても注目されています。
3Dデータ活用プラットフォーム「3D.Core」
bestatが開発した「3D.Core」は、東京大学松尾研究所発のプラットフォームで、産業分野向けの3Dデータ活用を支援します。点群データ、写真、動画、360度動画など、店舗等で取得される多様な3Dデータを活用し、取得から活用まで一貫したサポートを提供しています。これまでに70社以上の企業に導入されており、工場やプラント、橋梁、電力設備などのデジタルツインを構築する際に役立っています。
bestat株式会社は、今後もより新しいアルゴリズムや技術を取り入れ、製造、インフラ、土木分野における3Dデータの取得、生成、活用を推進していく方針です。