ispaceが実施した「改善タスクフォース」と新提言の全貌
株式会社ispace(東京都中央区)は、2025年6月に行われたミッション2の軟着陸未達成を受け、その原因となる技術的要因を分析し、改善策を検討するために「改善タスクフォース」を設立しました。本日、同社が開催した記者会見において、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のオリヴィエ・L・デ・ヴェック教授と慶應義塾大学の神武直彦教授が共同議長を務めるこのタスクフォースから提出された「7つの提言」が公表されました。
1. 改善タスクフォースの目的と活動内容
この「改善タスクフォース」の設置目的は、主に三つです。第一に、独立した第三者の視点から、ミッション2の着陸失敗を分析し、内部で見落とされた技術的・システム的要因についての洞察を得ること。第二に、今後の月面着陸ミッションを成功へ導くための提言をまとめ、技術の成熟度を商業化に足る水準に引き上げること。そして第三に、現状を明確化し、株主や顧客、政府などのステークホルダーとの信頼関係を強化することです。
このタスクフォースの活動は、失敗の原因解明を目的として、CAST手法というシステム理論に基づく因果分析手法を用いて行われました。この手法により、ミッション2に関わる広範なシステムの要因が徹底的に分析されました。
2. 具体的な改善提言
提言は運用レベル、システム開発レベル、経営判断レベルの三つの階層に分かれています。
運用レベル
1. 地形相対航法(TRN)の導入
2. 着陸運用時の残燃料活用
システム開発レベル
1. ベンダー選定プロセスの改善
2. 試験へのリソース増強
3. 故障検出・隔離・回復機能の設計と検証
経営判断レベル
1. ispaceとドレイパー社間の連携強化
2. 企業のリスク管理アプローチを強化
これらの提言を基に、ispaceは改善策の実施に向け具体的な計画を進めています。例えば、地形相対航法の導入については、既にJAXAの技術を活用した取り組みが進められています。また、試験リソースの拡充などは、テスト運用部門を拡張することで実現を目指しています。
3. 今後の展望
ispaceは改善タスクフォースからの提言を重視し、「失敗から学ぶ」姿勢で次のミッションへと取り組んでいきます。企業は「技術リスク評価委員会」を新設し、独立した立場からリスクを評価し、経営戦略とすることでリスク管理体制を強化します。この透明性のあるアプローチにより、全てのステークホルダーとの信頼関係を育てていく考えです。
また、月面資源開発に向けた新たな挑戦も続け効率的に取り組んでいくとしています。
「改善タスクフォース」は、専門家6名とispace関係者4名の計12名で構成され、多方面からの貴重な意見が集約されています。この発表を通じて、特に月面探査に関わる新たな技術の貢献が期待されています。
今後の月面着陸技術の進化を見守りつつ、株式会社ispaceの取り組みに注目が集まります。次回の取組みや改善策については、公式YouTube及びIRサイトでの情報公開も予定されています。