変化する商空間の接客力
LMIグループ株式会社が実施した全国調査から、顧客体験(CX)の新たな傾向が浮き彫りになりました。2025年に向けた顧客体験の転換点として、特にラグジュアリーブランドにおける接客力の低下が顕著でした。今回の調査は東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5大都市で行われ、商空間における人間のコミュニケーションや空間の使い方が、どのように進化しているのかを探る目的で実施されました。この調査によって、顧客体験価値が前年比で改善したとはいえ、ラグジュアリーブランドのスコアが大きく変化したことが注目されています。
調査結果の概要
全国の平均スコアは63点で、前年よりも2ポイント上昇しましたが、ラグジュアリーブランドとアフォーダブルラグジュアリーブランドが同時に1位となるという驚くべき結果が出ました。特に昨年はラグジュアリーブランドの圧倒的なスコアリーダーでしたが、今回はそのスコアが減少する自体となりました。
この調査の背景には、顧客との接点の減少やコミュニケーションの希薄化があることが浮かび上がりました。
ラグジュアリーブランドの低下原因
ラグジュアリーブランドにおける接客力の落ち着きは、店頭での顧客との接触減少に起因しています。「入店への気づき」や「話しかけやすい雰囲気」といった重要な接客要素のスコアが低下していることが明らかになっています。特にインバウンド需要の増加に伴い、国内客户へのアプローチが疎かになっているという実態が指摘されています。
インバウンド顧客の影響
調査の中で寄せられたコメントには、インバウンド客が優先され、国内客に対するアプローチが不足しているというネガティブな体験が多く取り上げられています。この状況が、本来は高い顧客体験を提供すべきラグジュアリーブランドの接客力を妨げているという現実があります。
アフォーダブルラグジュアリーブランドの躍進
一方、アフォーダブルラグジュアリーブランドは、幅広い顧客層に対して良好な接客を提供し、総合点を3ポイント上げる結果となりました。若年層をターゲットにした、このブランドの成功は、ただ商品力だけでなく、接客の質が向上したことによるものです。
CXスコアと売上の関係
調査結果から、CXスコアと売上に明確な相関関係が示されました。特に、売上が大幅に減少したブランドCでは、CXスコアの低下が直結する形となり、逆にCXスコアを向上させたブランドAでは、売上も大幅に増加しています。
顧客コミュニケーションの再構築
今回の調査は、ファッション業界全体が直面する人材不足や教育機会の減少といった根本的な課題の表れと捉えられます。特に、インバウンド需要の増加は、これらの問題を助長し、従来の接客モデルの限界を浮き彫りにしました。
そのため、LMIグループでは、限られた人材リソースを最大限に活かすための効率的なトレーニング支援やデジタルツールを使った接客ナレッジの共有システムの導入に取り組んでいます。この危機をチャンスに変えることで、持続可能な接客モデルの確立を目指しています。
行動の転換点として捉え、売上や顧客体験価値を向上させるための新たなアプローチの必要性を痛感させられる調査結果となりました。