NPOの信頼性、企業は「反社排除」と「法令遵守」重視!第三者認証への期待も高まる
公益財団法人日本非営利組織評価センター(JCNE)が実施した、企業のCSR・サステナ等担当者500名を対象としたアンケート調査の結果が発表されました。この調査は、NPOの信頼性に対する企業の意識を探るもので、個人を対象とした継続調査との比較も行われています。
調査結果によると、企業がNPOとの連携において最も重視する点は、「反社会的勢力との関係排除」と「法令遵守」であることが明らかになりました。90%以上の企業が、NPOが重大な法令違反や反社会的勢力との関係がないことを確認することの重要性を認識しています。
これは、個人を対象とした継続調査でも同様の傾向が見られることから、企業だけでなく一般社会においてもNPOに対する信頼性の高い基準として認識されていると言えるでしょう。
企業は、NPOとの連携において、民間企業との取引と同様に、反社会的勢力との関係排除や法令遵守について複数の確認手段を用いて、リーガルチェックを実施していることが明らかになりました。しかし、具体的な確認方法は確立されておらず、連携の内容によっても異なる傾向が見られます。
調査では、NPOの信頼性を第三者機関が認証していた場合、82.5%の企業人がNPO連携が促進されると回答したことも注目すべき点です。これは、企業がNPOとの連携において、信頼性の担保に苦労している現状を反映しており、NPOの信頼性を担保する統一した指標に対するニーズがあることを示唆しています。
今回の調査結果から、企業等支援者から信頼されるためには、NPOは法令遵守に加えて、リスク管理、経理、成果報告等をしっかりできる組織体制を整え、信頼性を向上させることが求められていることがわかります。
NPO自身も、自団体の信頼性を明確に証明することが難しい現状を踏まえ、第三者認証制度への期待が高まっていると言えるでしょう。JCNEは、NPOの信頼性を担保する一つの方法として、第三者認証制度の普及に積極的に取り組む方針です。
企業とNPOの連携、資金提供が主流
企業とNPOの連携は、資金提供が中心となっていることがわかりました。
企業からNPOへの協賛、企業及び企業社員からの寄付、NPOとの共同事業・共同活動・共同開発が上位3位を占めており、プロボノによる技術支援や企業の保有する施設の貸与などの連携よりも、資金提供型の連携がより多く見られます。
NPOとの連携、企業が重視するポイント
企業がNPOとの連携において重視するポイントは、以下のとおりです。
NPOが、重大な法令違反がなく、処分を受けていないか
NPOが、反社会的勢力との関係を遮断し排除しているか
個人情報の漏洩防止などリスク管理体制があるか
政治や宗教とのかかわりがないか
これらのポイントは、個人を対象とした継続調査でも上位に挙げられており、企業だけでなく一般社会においてもNPOに対する信頼性の高い基準として認識されていることがわかります。
NPOの信頼性向上に向けた取り組み
NPOの信頼性を向上させるためには、以下の取り組みが重要となります。
法令遵守、リスク管理、経理、成果報告等をしっかりできる組織体制を構築すること
第三者認証制度を活用し、客観的な評価を得ること
* 企業との連携において、透明性と信頼性を高めるコミュニケーションを心がけること
NPOと企業の連携は、社会課題解決において不可欠な要素です。今回の調査結果を踏まえ、NPOは信頼性を高める取り組みを強化し、企業との連携を促進していくことが求められます。