日本の伝統文化が海外に向けて発信される
2025年、東京で特別な公演が予定されている。早稲田大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の共同プロジェクト「柳井イニシアティブ」から生まれた英語能『オッペンハイマー』と再演の『青い月のメンフィス』だ。これらの作品は、日本の伝統的な能の魅力を海外に届けることを目的としている。
英語能『青い月のメンフィス』の再演
『青い月のメンフィス』は、アメリカの劇作家であるデボラ・ブレヴォルトがエルヴィス・プレスリーを題材にした作品で、1993年に初演された。エルヴィスの命日に聖地とも言える場所を訪れた一人のファン、ジュディが青い月の光の下でエルヴィスの亡霊に出会うという物語だ。衣装にはデニム素材を使用し、エルヴィスのヒットナンバーを巧みに謡に織り込むなど、ユニークな表現が評価されている。
新作『オッペンハイマー』の意義
一方、英語能『オッペンハイマー』は、オーストラリアの音楽学者アラン・マレットによって2015年に書かれた作品で、原子爆弾の開発を主導したロバート・オッペンハイマーの苦悩を描いている。作品は禅の公案集「無門関」の教えを背景に、彼の悔悟と罪について深く探求する内容となっている。特に、戦後80年という節目にも関わらず、広島と長崎への原爆投下の日に公演されることには深い意義が込められている。
公演の詳細
この二つの英語能は、2025年8月に東京都品川区の新しい喜多能楽堂で上演される予定だ。両公演ともに観覧料は3000円または5000円(台本・冊子付き)で、全席自由席となっている。公演の際には日本語字幕も用意され、各ジャンルの舞台作品が融合した多様な表現が楽しめる。
日時: 2025年8月6日(水)18:30〜、8月9日(土)14:00〜
内容: 舞囃子『敦盛(Atsumori)』、狂言『口真似(Celui qui imite trop bien)』、英語能『オッペンハイマー』
日時: 2025年8月7日(木)18:30〜、8月8日(金)18:30〜
内容: 舞囃子『岩船(Iwafune)』、狂言『寝音曲(Quand on chante allongé)』、英語能『青い月のメンフィス』
チケット情報
チケットの申し込みは、柳井イニシアティブのウェブサイトを通じて可能で、販売は2024年6月2日から開始される。未就学児童の入場は制限されているため、家族での観覧を希望する場合には事前に確認が必要だ。
この公演は、日本の伝統芸能に新しい光を当て、海外に向けても広がるきっかけとなることが期待される。メディア各社にも公演の紹介をお願いしたいとのことで、6月2日にはメディア発表会も行われる予定だ。この機会にぜひ多くの人に日本の文化を体験してほしい。