CO2排出量の可視化を進める新たな取り組み
2023年、e-dash株式会社は苫小牧商工会議所との業務提携を発表しました。この提携を通じて、両者はCO2排出量の可視化と削減を支援するサービス「商工会議所CO2見える化サポート」と呼ばれるプログラムを展開していきます。近年、2050年のカーボンニュートラルの達成が求められる中で、企業における二酸化炭素の排出量の情報開示や削減は重要なテーマとなっています。特に、省エネルギーや持続可能な経営を志向する企業にとって、排出量の管理は欠かせません。
なぜ今、CO2の見える化なのか?
企業が自社のCO2排出量を把握し、削減に向けた具体的な対策を講じることは、環境保護のみならず、企業の信頼性向上にも繋がります。特に、プライム上場企業では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に対応するための取り組みが急務となっています。また、自動車産業を筆頭とする多くの業界が、サプライチェーン全体での排出量情報の開示を求められるようになってきています。この動きは中小企業にも波及しており、情報開示が求められる事例も増加しています。
中小企業の現状と課題
日本の企業の99.7%を占める中小企業は、CO2排出量の管理に必要な知識やリソースが不足しているため、十分な対応ができていない現状があります。実際、東京都の調査によれば、中小企業の6割以上が脱炭素への取り組みを行っていないという結果が出ています。この背景には、「何から始めれば良いのか分からない」とか「業務に負担がかかる」といった理由があります。
このような課題に立ち向かうためには、商工会議所の役割が重要です。地域経済の活性化を目指す商工会議所が、中小企業と連携し、具体的な支援を提供することで、脱炭素化を促進することが求められています。
提携による具体的な支援内容
e-dashは今回の提携において、苫小牧商工会議所の会員企業に対して「e-dash」を通じてCO2排出量の見える化を提供します。具体的には、電気やガスの請求書をアップロードするだけで、自動的にCO2排出量を算出するシステムを導入します。このシステムにより、企業は手間をかけずに正確なデータを得ることができ、今後の施策立案に活かすことが可能になります。
さらに、e-dashは三井物産の広範なネットワークを活用し、CO2排出量削減に向けたさまざまな施策の実施支援も行うとしています。企業の環境意識を高め、持続可能な社会の実現を共に目指していく姿勢が、一層強化されています。
まとめ
今回の提携は、CO2排出量の可視化という初めの一歩を支援し、さらにその先の削減施策の実行支援を通じて中長期的なパートナーシップを構築するものです。企業が抱える脱炭素への課題を解決するための実効的な施策を提供することで、e-dashと苫小牧商工会議所は地域経済の健全な発展に寄与していくことが期待されます。