日本の経営コンサルティングのパイオニア、株式会社タナベコンサルティングは、2024年度の『デジタル経営に関するアンケート』の結果を発表しました。この調査は全国の企業経営者やデジタル担当者を対象に実施され、昨年から6.9ポイント増加した『全体的にまだ不十分』という回答が約4割を占めることが分かりました。
この調査の結果により、現在の日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進はまだまだ進んでいないことが明らかになりました。特に、約4割の企業が『DX推進部門を保有』としながらも、専門人材が不足しているため、兼任での運営が増加していることが懸念されています。昨年よりも推進部門の兼任中心の割合が7.0ポイント上昇していることから、組織がDXのために取り組んでいるにも関わらず、十分な専門知識やスキルを持つ人材が確保できていない現状が浮き彫りになっています。
また、調査において企業のマーケティング活動に関する状況も明らかになり、『有用なマーケティングデータがつかめていない』と回答した企業が多く見られました。このうち、44.2%の企業が顧客データを表計算ソフトで管理していると回答しており、システム導入以前に手作業で集計している実態が明らかとなっています。
問題は企業がデジタルマーケティングへの取り組みが進んでおらず、デジタル施策が実施されているものの、その成果に結びついていない場合が多いことです。調査結果によると、『現在実施はしていないが、これから取り組みたい』と回答した企業が33.7%を占めており、デジタル化への関心はあるものの実際に進めていない企業が多いことを示しています。
さらに、経営判断にデータを利用している企業の中では、31.0%が『Excelでデータ加工している』と回答する結果となり、デジタル技術を活用した効率的なデータ管理ができていない現状を示しています。加えて、データサイエンティストの人材不足が挙げられ、企業は人材育成と共に内部の調査を進める必要があります。
このような結果を受け、タナベコンサルティングは企業に対し、DXの推進体制を強化するためには、デジタル技術だけでなく、経営知識やマネジメントスキルの習得が必要であると提言しています。また、データ利活用が不十分な企業は、どのようなデータを活用するかを明確にし、データ連携と可視化の仕組みを整えることが求められています。これにより業務の効率化だけでなく、生産性向上を試みることができます。
総じて、現在のDX状況は企業全体の競争力に直結しており、デジタル化の進行が企業の持続的成長に重要な要素であることを再認識させられます。タナベコンサルティングの執行役員である武政大貴氏と庄田順一氏は、それぞれの立場から戦略的なデジタル推進が必要であると述べています。これからの企業は、変革の必要性を真剣に受け止め、具体的なアクションへと進めていくべきです。