音声AIで訪問看護を支援する「スタンドLM」
株式会社ENBASEは、訪問看護・介護に特化した音声AIアシスタント「スタンドLM」の普及に向けて、第三者割当増資を実施しました。東京を拠点に活躍するこのスタートアップは、医療業界における課題解決を目指し、これまでに3.5億円の資金を調達。リード投資家としてOne Capital株式会社が参加しています。スタンドLMは、開発からわずか半年で訪問看護ステーションを含む100社以上に導入され、現場の声をもとに進化を続けています。
課題から生まれた音声AI
日本では少子高齢化が進行する中、約10万か所におよぶ在宅ケア施設が直面する問題は深刻です。記録業務の多さはスタッフの負担を増やし、結果的に質の高いケアを提供する障壁となっています。また、データの利活用や業務の効率化にも手が回らず、医療や介護の現場には絶えず課題が山積しています。そんな中、ENBASEはAI技術を用いて現場の声を取り入れ、業務の自動化を図る「スタンドLM」を開発。これによりスタッフの負担を軽減し、在宅ケアの持続可能性を追求しています。
スタンドLMの機能と特長
スタンドLMは、AIがケア現場の会話をリアルタイムで記録し、報告書を自動生成します。訪問時にワンタップするだけで、AIが必要な情報を報告書に落とし込み、従来のように煩雑な手続きを行う必要がありません。この「オーケストレーションツール」は、訪問のたびに高精度な記録を生成し、月次の報告書も自動で作成します。
さらに、ハラスメントやトラブルの兆候を検知する機能もあり、スピーディに問題に対処。これにより、事実確認のコストを約85%削減することに成功しています。現場のススタッフが忙しい中でも、AIが支援することで、彼らは本来の業務に集中できる時間を得ることができるのです。
また、スタンドLMはAIによる教育機能も備えており、管理者はスタッフの対応を評価し、効果的なフィードバックを行えます。これは、訪問看護や介護の現場が直面する人材不足問題への対抗策にもなりうるでしょう。
導入による成果
実際にスタンドLMを導入した企業からは、記録の作成時間が75%削減されたとの声が上がっています。訪問記録1件あたりの時間が10分から2分に短縮され、スタッフはケアそのものにもっと集中できるようになったのです。また、離職率が約40%低下したという結果も示されています。これはスタッフの孤立感を軽減し、適切なタイミングでフォローできる制度が整ったからだとされています。
未来への展望
ENBASEは今後、訪問介護だけでなく、接客業全体にスタンドLMの技術を展開していく予定です。約3,000万人もの人が従事する接客業においても、音声AIの導入は非常に重要な意味を持つと考えられています。これからの展開には、高齢化社会の中での人材不足対策として、スタンドLMが医療や介護の現場だけでなく、様々なサービス業での定着が期待されます。
ENBASEの代表取締役 無尽洋平氏は、このプロジェクトに対する情熱を語り、「コミュニケーションは人間同士の関係を支える基盤であり、その上にテクノロジーをかけ合わせることで新たな価値を生み出したい」と考えています。スタンドLMというプロダクトが、訪問看護の現場にどのような変化をもたらすか、今後の展開が楽しみです。