近年、清掃業界においてロボットの導入が注目される中、ドイツの清掃機器メーカー、ケルヒャー社から新たな革新が発表されました。床洗浄ロボット「KIRA B 50」が株式会社ZMPの開発したロボット管理OS「ROBO-HI」と連携することで、清掃の効率性と効果を一層高めることができるというものです。
この協力関係により、「KIRA B 50」の群管理機能が強化され、従来の個別運行から複数台のロボットを統合的に制御する新しい運用形態が実現しました。“群管理”とは、複数のロボットの動きを連携させ、一緒に作業ができるという技術です。これに伴い、清掃コストや作業時間の削減が可能となり、スムーズかつ効果的な清掃スケジュールが組めるようになります。
例えば、商業施設でセッティングされた運搬ロボットや配膳ロボットと同時運用する際、これまでのようにそれぞれのロボットが独立して行動することから生じていた通路の混雑や詰まりが解消されます。ROBO-HIが導入されると、ロボットAが通路を通過する際、ロボットBは待機し、通路が空いたタイミングで移動を開始するなど、より合理的な運用が可能になります。
現在、協業は第1フェーズにあり、複数台のロボット管理と他社製ロボットとの一元管理が実現しています。次の第2フェーズでは、エレベーターとの連携が進むことで、複数フロアにわたる清掃業務を完全自動化することを目指しています。高層ビルや大型商業施設での清掃業務の効率化に向けて、さらなる活用が期待されます。
KIRA B 50の特長は、従来機の高い洗浄能力を維持しながら、自律性と安全性を追求した点にあります。例えば、ローラーブラシによって除塵と洗浄作業の工程を1つに短縮し、サイドブラシが汚れを中央に集めて安全に清掃を行います。また、高性能情報処理を駆使した簡単な操作性も魅力です。さらに、高性能センサーとソフトウェアを搭載し、障害物を検知・回避しながらスムーズな自律走行を実現しています。
これらに加え、オプションで提供されるドッキングステーションを利用することで、給水や排水、タンク清掃、充電を自動で行うことができるので、時間のさらなる有効活用が図れます。
ROBO-HIは、施設単位や街単位でロボットを統合的に管理するシステムです。リアルタイムでロボットの位置や状態を把握し、混在する複数のロボットの群制御を行うことができるため、その導入による業務の最適化が期待されています。
清掃業務の自動化が進む中で、ケルヒャーとZMPのパートナーシップによって、これまでになかった清掃現場の未来が切り開かれようとしています。業界に革新をもたらす「KIRA B 50」と「ROBO-HI」の連携は、これからの社会に一層の便利さと効率性をもたらすことでしょう。
さまざまな施設での導入が進む中、この流れは日本の清掃業界に新たな風を吹き込んでいます。清掃作業の煩わしさが軽減されるだけでなく、精緻な業務プロセスの確立が期待されます。未来の清掃現場を共に創り出していくための一歩となるでしょう。