選手のための新しい人工芝
住友ゴム工業株式会社は国立大学法人筑波大学体育系の小井土正亮准教授との共同研究に基づき、選手のプレー性能を最大限に引き出す新たなロングパイル人工芝の開発を行っています。これは、選手が感じることができる「プレー性能」を重視し、身体への負担を軽減しつつ、パフォーマンス向上を支えることを目指しています。
研究の背景
人工芝ピッチは近年、日本国内で急速に普及しています。2000年以降、すでに4,500件以上の施工実績があり、関東大学サッカーリーグでは2024年からホーム&アウェイ制が採用され、90%以上の試合が人工芝で行われる環境が整いつつあります。しかし、これらのピッチは種類や品質によってコンディションが異なり、選手のパフォーマンスに影響を与える可能性があるとされています。このため、選手が安心してプレーできる環境を提供することが求められていました。
研究の内容
本研究では、選手の感性と人工芝の物理的特性との関連を解明するために、感性工学手法が採用されました。具体的には、関東大学サッカーリーグに所属する36校、合計1,973人の選手を対象にアンケートを行い、使用される人工芝ピッチの評価を実施しました。そのアンケート結果からは、全体と1部所属の選手が「ショートパス」と「切り返し」を特に重要視していることが明らかとなりました。また、充填層が厚く、ボールの転がりが悪いほど、選手がテクニックを発揮しやすい傾向も見受けられました。
これらのデータは3月に行われた「日本フットボール学会22nd Congress」で報告され、1,000件以上の選手から収集された感性評価と人工芝の特性を結びつける国内初の研究として注目されています。この成果は、筑波大学のスポーツ科学の知見と住友ゴムの技術力の融合によって実現したものです。
今後の展望
住友ゴムは、これらの研究結果を基にして、選手がより安全にプレーでき、パフォーマンスを最大限に発揮できる人工芝の設計に取り組んでいます。年内には新しい製品の発売を予定しており、選手の視点を重視しつつ、持続可能な環境に配慮した製品開発にも力を注いでいます。これにより、選手が快適にプレーできる場を提供し続け、スポーツ界全体の発展に寄与することを目指しています。
住友ゴムの歴史と実績
住友ゴムのロングパイル人工芝「ハイブリッドターフ」は、2000年に市場に登場し、以降多くのフィールドで使用されてきました。今年で25周年を迎え、850万㎡以上の施工実績があることからも、同社の技術力が確かなものであることが証明されています。これからも選手のニーズに応える製品を用意し、より良いプレー環境を提供し続けることでしょう。