シミ取りレーザー治療の効果が基底膜に影響される
株式会社コーセーとアピアランスビューティクリニックの共同研究によって、シミ取りレーザー治療の効果が表皮の基底膜の凸凹度合いに応じて変化する可能性が示されました。この研究は、将来的なレーザー治療の効果を予測する手助けになると期待されています。
シミ取りレーザー治療の概要
シミ取りレーザー治療は、QスイッチNd:YAGレーザーを使用し、シミを除去するための一般的な美容医療手法です。しかし、シミの種類や色合い、発生部位によって治療効果に個人差があるため、一律にその効果を見込むことが難しい状況でした。そこで、研究者たちは肌の構造と治療効果の関連性を探求しました。
研究の背景と目的
これまでの研究で、コーセーはメラノサイトや表皮の健康状態がシミ形成に与える影響を見いだしてきました。その知見を踏まえ、今回は基底膜と呼ばれる、皮膚の内部構造に焦点を絞り、シミ治療におけるその役割を検証します。
基底膜の凸凹度合いが治療効果に与える影響
研究では、ラインフィールド共焦点光干渉断層撮影(LC-OCT)を用いて、13名の実験参加者にシミ取りレーザー治療の前後で基底膜の状態を観察しました。その結果、施術後2か月経った時点でのシミの治療効果があまり見られなかった参加者の基底膜には、明らかに凸凹した状態が見られました。
具体的には、基底膜の形状を測定し、それをもとに治療効果の高いグループと低いグループの差を明確にしました。基底膜の凸凹度が高いほど、レーザーによる治療効果が得にくい可能性が示唆されたのです。
この知見は、レーザー治療の前に、基底膜の状態を確認することで、どれくらいの効果が期待できるかを予測するための新しい指針になると考えられます。
日常的なスキンケアの重要性
さらに本研究は、基底膜の構造が紫外線や加齢の影響を受けることも指摘しています。したがって、日常的に肌を労わること、特に紫外線対策を行うことが、健康的な基底膜を維持し、結果的にシミ取りレーザー治療の効果を引き上げるかもしれないという示唆を与えています。
今後の展望
この研究によって、シミ取りレーザーの効果をより良く理解し、皮膚科学の発展や、より快適な美容医療の実現に向けた新たな一歩が踏み出されました。今後もコーセーは、科学と技術を駆使して健康的で美しい肌を実現するための研究に取り組んでいく予定です。