近年、日本において少子高齢化の影響が深刻化し、労働力の不足が社会問題となっています。この中で、仕事をしながら家族の介護を行う「ビジネスケアラー」の存在が急増しており、その支援体制の強化が求められるようになっています。この流れの中で、株式会社チェンジウェーブグループと大日本印刷株式会社(DNP)は、2024年8月に「仕事と介護の両立支援」の分野において資本業務提携を行うことを発表しました。この提携では、両社の専門性を活かしてビジネスケアラーの課題解決に向けたサービス開発が進められます。
日本では、経済産業省の推計によると、2030年にはビジネスケアラーが約318万人に達するとされており、介護によって生じる労働者の生産性低下の経済的影響は約9兆円に及ぶとしています。このような現状を受け、2024年には「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」が策定され、企業に対して適切な支援制度の整備が求められています。
この資本業務提携は、仕事と介護の両立をサポートすることを目指しており、DNPの高度なセキュリティ技術を活かしながら、チェンジウェーブグループの介護支援プログラム「LCAT(Lyxis Care Assistant Tools)」を統合し、新たなソリューションを開発します。これにより、企業が抱える介護リスクを可視化し、実効性のある支援を行うことが可能になります。両社は共同で新しい支援プログラムを開発し、その販売を進めていく計画です。
具体的には、定期的な実態調査を通じて社員の介護リスクを把握し、その結果をもとにビジネスケアラーが抱えるニーズに応えるソリューションを提供します。また、DNPの全国規模の営業ネットワークを活用して、両社の提供するサービスの販売を推進し、さらなる付加価値の創出を目指します。
大日本印刷の千葉亮太常務執行役員は、企業理念に基づき、今回の提携を通じてさらなる社会課題解決に貢献できることに期待を込めて発言しています。一方、チェンジウェーブグループの佐々木裕子代表取締役は、ビジネスケアラーの問題に真正面から向き合い、DNPの力を活かして同社のミッションにかなったソリューションを共に創出したいと述べています。
この提携は、急速に進む高齢化社会において、仕事と介護を両立させるための新たなモデルを提供する可能性を秘めています。今後、どのような具体的な成果が見込まれるのか、企業や社会全体が注目しています。両社の取り組みが、ビジネスケアラーの職場環境を改善し、より多くの人が仕事を続けながら介護と向き合える中で、どのように機能するかが期待されます。