丹波杜氏と伝統的酒造りの魅力
12月5日、伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産として登録され、日本全国で注目を集めています。この伝統的技法を守り続けているのが、丹波篠山の「丹波杜氏」です。彼らが造る新酒のシーズンが到来し、多くの人々にその魅力が楽しめます。
丹波杜氏とは?
狭義において「杜氏」というのは、酒造りの現場をまとめる職人のことを指しますが、ここでは丹波杜氏のように集団全体を指しています。丹波杜氏は、地元の造り酒屋を中心に結成されており、「丹波」という地名がその呼び名の由来です。南部杜氏(岩手県)や越後杜氏(新潟県)とともに、日本三大杜氏の一つにも数えられています。
その起源は、篠山曽我部の庄部右衛門が池田の「大和屋本店」の杜氏となったことに遡ります。300年以上の歴史の中で、丹波杜氏は数々の銘酒を生み出し、その技術と伝統を大切にしてきました。その生成過程では、米や良質な水、熟練した技が密接に絡み合い、独特の味、香り、そして色合いを生み出します。
新酒とは何か?
新酒の定義は諸説ありますが、一般的には秋に収穫された新米を使って作られた酒のうち、11月から翌年の春までに出荷されるものを指します。特に新米を使用した初搾りの酒が「新酒」として呼ばれています。
新酒が完成した際の目印として有名なのが「杉玉」です。これは、杉の葉をまとめたもので、青々とした状態の杉玉が酒蔵の軒先に吊るされると、それが新酒ができた合図となります。酒蔵を訪れる際には、ぜひその杉玉を探してみてください。
唎酒会 大正から続く伝統
毎年春に開催される「唎酒会」は、丹波杜氏の技術を競い合うイベントです。1930年(大正6年)から続くこの会では、出品された新酒を日本酒の専門家や鑑定官が審査します。審査は「普通酒」、「純米酒」、「吟醸酒」の3部門に分かれて行われます。
唎酒の過程では、酒の色調や香り、味わいを慎重に評価します。色彩の観察から始まり、次に香りを嗅ぎ、最後に口の中に含んで詳細な味わいを感じ取ります。このようにして、丹波杜氏が造り上げた酒の品質が正当に評価されるのです。
丹波杜氏酒造記念館の見学
丹波杜氏の伝統と技術を学ぶためのスポットが、丹波杜氏酒造記念館です。この記念館では、酒造りに必要な道具や資料が展示され、過去の杜氏や酒造りの歴史を学ぶことができます。
概要
- - 住所: 兵庫県丹波篠山市東新町1-5
- - 営業時間: 午前10時~午後5時(土日祝は午後4時まで)
- - 休館日: 11月から翌3月の土・日・祝、年末年始(12/28~1/4)
- - 丹波杜氏酒造記念館のホームページ
この秋冬、丹波杜氏が生み出す新酒を楽しみ、その深い味わいをぜひ体験してください。