株式会社ispace、月面着陸ミッション2の成果と課題を報告
株式会社ispace(東京都中央区)は、本日、民間企業として日本初・アジア初を目指した月面着陸ミッション2に関する重要な情報を公表しました。このプロジェクトは"SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON"という名のもとに実施されましたが、惜しくもミッションの終了を判断する事態となりました。通信が回復せず、月面着陸の確認ができない状況が続いているため、ミッション2の目標は達成困難となりました。
2025年6月6日、ispaceのエンジニアは日本橋にあるHAKUTO-Rミッション・コントロール・センターから着陸シーケンスの開始を指示しました。 RESILIENCEランダーは月周回軌道から降下を開始し、高度100kmから20kmまでの惰性降下を経て、主エンジンを噴射し減速をしました。
この時点では、ランダーの姿勢がほぼ垂直になったことが確認されましたが、その後テレメトリデータが失われ、予定していた午前4時17分の着陸予定時刻を過ぎても着陸信号は受信できませんでした。
現在確認されている情報によれば、月面までの距離を測定するレーザーレンジファインダーのデータが得られない事態が発生し、必要な速度まで減速できなかった可能性が高いとみられています。これにより、最終的にはハードランディングに至ったと推測されています。
ランダーからの通信が途絶えた後には再起動を試みましたが、通信の回復には至らず、ミッション2の月面着陸は達成困難であるとの結論に達しました。
正確な原因については現在、取得済みのテレメトリデータを解析中であり、結果が出次第報告する予定です。引き続き、ミッション・コントロールではランダーの状況を把握し続け、進展があれば速やかにお知らせします。
CEO 袴田武史からのコメント
ispaceの代表である袴田武史氏は、「現時点で月面着陸の見込みがないため、まずはテレメトリデータを迅速に解析し、原因を明らかにすることが私たちの責務であると考えています。これからも株主やパートナー、応援してくださる全ての皆様に対し、進展があれば必ず報告し、信頼を回復したい」とコメントしました。
ispaceについて
ispaceは「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、月面のリソース開発に取り組む宇宙スタートアップ企業です。 2010年に設立され、現在は日本、ルクセンブルク、アメリカに拠点を持つ約300名のスタッフが在籍しています。
同社は、月への低コストで高頻度の輸送サービスを目的に小型ランダー(着陸船)とローバー(探査車)を開発しています。これにより、民間企業が月面でのビジネスを行える環境を整備したいと考えています。前回のミッション(ミッション1)は2022年12月に成功裡にランダーを打ち上げ、ミッション2は2025年1月に行われましたが、現在原因調査を進めています。
次回のミッション(ミッション3および4)は2027年に打ち上げが予定されています。
HAKUTO-Rについて
HAKUTO-Rはispaceの月面探査プログラムであり、独自のランダーとローバーを利用して月面探査を行います。これまでの成果を踏まえつつ、さらなる挑戦を続けていく姿勢を見せています。特に、HAKUTO-Rは新たなビジネスチャンスの象徴として位置付けられており、多くの企業とのパートナーシップによって支えられています。