製造業の腰痛実態調査：企業対策と従業員の要望に乖離

製造業で働く方々の腰痛問題が深刻化しています。日本シグマックス株式会社が実施した調査によると、1922名のうち482名が工場勤務を原因に腰痛を経験し、その結果就労に影響が出ていることが明らかになりました。具体的には、57.9%の人が「就労したが痛みによって大変だった」と回答しています。この調査は、腰痛がもたらす実態を浮き彫りにし、企業と従業員の間に存在する対策に対する期待と実施状況のギャップを示します。

腰痛の原因

製造業で腰痛が発生する理由として、最も多い回答が「重量物の持ち運び・積み下ろし」で、72.4%の人がこの業務を原因に挙げています。他にも「身体に負担のかかる姿勢での作業」と「同じ動作の繰り返し」が高い割合を示しました。これらの作業は、専門的な技術と決められた製造工程が求められるため、担当やシフトの変更も難しく、痛みを抱えたまま業務を続けざるを得ない状況が多いのです。

腰痛対策の状況

調査によると、従業員が実施している腰痛対策として最も多く挙げられたのは、市販のシップ薬や塗り薬の使用でした。一方、企業が行っている対策としては、重量物の重さ制限や作業台の高さ調整、作業機械の導入が挙げられています。しかし、従業員のニーズの中には、アシストスーツや腰サポーターの支給・導入が求められているという問題が存在します。企業が実施している対策と従業員が期待する内容に明らかなギャップが見られます。

相談しない理由

さらに興味深い点は、66.6%の従業員が勤務先に腰痛について相談したことがないと回答したことです。相談しなかった理由として「我慢している」が41.7%にのぼり、長年の腰痛を抱えていることも負担になっています。また、労災申請を行わなかった人の82.2%がその手続きを踏まなかったとのことで、特に腰痛に対する労災認定条件を知らない人が多いことが明らかになりました。これは、腰痛が広く認知されている問題でありながら、具体的な対応がなされていないことを示しています。

企業の責任

腰痛は、休業を要する職業病の一つとして約6割を占める労働災害であり、その対策は急務です。特に製造業においては、物理的負荷を軽減するための環境整備が求められます。企業は、労働者が快適に働ける環境を作るため、従業員の声を反映させた具体的な対策を講じる必要があります。現場の実情を把握し、腰痛の悩みに応えられる体制を整えることが、労働災害を未然に防ぐ鍵となるでしょう。

まとめ

実態調査からは、製造業という特定の職場においても、腰痛問題が深刻であることが浮き彫りになりました。企業は、従業員が真に求めるサポートを提供し、腰痛の予防と改善に向けた取り組みを強化することで、より安全で快適な労働環境を実現する責任があると言えます。また、従業員側も、自分の健康を守るために声を上げることが重要であると考えられます。腰痛に対する意識を高め、より良い職場づくりに向けて共に取り組んでいくことが求められます。