米国の対外援助削減がもたらす壊滅的影響とその背景
米国のトランプ政権が発表した国際援助資金の大幅削減から1年が経過した。この政策は、世界中で公衆衛生ニーズに基づく人道援助が放置され、多くの命が脅かされる結果となっている。国境なき医師団(MSF)は、2025年を通じてこの影響が深刻であることを報告し続けている。
援助削減がもたらす具体的な影響
MSFは、米国の援助資金削減が各地でどのように致命的な結果をもたらしているかを目の当たりにしている。例えば、ソマリアでは援助が途絶え、治療用ミルクの配送が数ヶ月にわたり停止した。この結果、重度栄養失調の子どもたちの数は前年に比べて急増し、2025年には3355人に達した。特に南西部バイドアのベイ地域病院では、重度栄養失調児の死亡率が前年同時期と比較して44%増加したという。
同様に、コンゴ民主共和国では米国際開発局(USAID)が解体されることにより、性暴力被害者に提供する治療キット10万個の発注が取り消された。性暴力被害が深刻な同国では、MSFが2025年に提供したケアを受けた人数が2万8000人にも上る。
米国の新たな援助戦略
さらに、トランプ政権が昨年発表した「米国第一グローバルヘルス戦略」は、米国のグローバルヘルスにおける役割を再定義し、大幅に縮小させることを目的としている。この戦略は、米国がもはや世界のリーダーシップを持たないことを示唆するものであり、特にリプロダクティブ・ヘルスや非感染性疾患といった重要な問題を無視している。
この戦略の実行において、米国政府は支援を受ける国々と二国間協定を結ぶことを目指しているが、そのプロセスは不透明であり、支援を行う市民社会の声が無視されていると指摘されています。
政治的打算による影響
米国政府は、こうしたアプローチによって各国が主体性を持つことを促進すると主張しているが、その実態としては、米国のイデオロギーに従った支援の制限がかけられていることが多い。特に、性と生殖に関する保健分野では顕著で、米政権は受益国に対して強い圧力をかけている。
MSFの米国におけるグローバルヘルス政策責任者、ミヒル・マンカドはこの状況を憂慮し、「グローバルヘルスの援助は、公衆衛生のニーズに基づくべきであり、政治的打算や経済的搾取によって決められるべきではない」と訴えている。
まとめ
2025年の援助削減は、すでに壊滅的な影響を世界にもたらしていることは明白である。米国はその援助の目的や方法を、そして国際社会との関わり方を再評価し直す必要がある。これにより、世界中の人々の生命と健康を守るための公衆衛生支援が確保されることを願うばかりです。