脱毛業界の厳しい現状、2024年度は過去最多の倒産件数を記録

脱毛業界において、2024年度は倒産案件が過去最多の18件に達する見込みです。これは、2023年度の8件から倍増し、業界の厳しい実情を浮き彫りにしています。特に知名度の高いサロンやクリニックが相次いで経営破たんし、過去2年間で推計約30万人が影響を受けたとされています。

業界の三重苦

脱毛業界の厳しい状況は、いくつかの要因が重なり合って生じています。まず第一に、高価格モデルの限界があります。多くの業者が高単価の施術を提供していますが、消費者の気持ちが変化し、顧客の獲得が難しくなっています。

次に、固定費の負担の増大が挙げられます。賃料や輸入品の高騰、人件費の増加が企業経営に圧力をかけており、これらのコスト上昇が採算を直撃。2023年度には、脱毛関連の事業者の40%以上が赤字に陥っています。

さらに、消費者の防衛意識の高まりも影響しています。物価上昇に伴い、美容支出を控える傾向が強まる中、消費者は施術の効果や価格をより慎重に検討するようになっています。この結果、既存顧客の再来店率が低下し、新規顧客の獲得がさらに難しくなっています。

業界の信頼回復が急務

業界全体で見た場合、信頼回復に向けた取り組みが急務です。特に、業界最大手の「ミュゼプラチナム」を運営するMPH株式会社が2023年5月16日に従業員らから破産を申し立てられ、破産手続きが開始される見込みです。これが実現すれば、脱毛業界において過去最大の倒産となります。

業界のビジネスモデルは、依然として高価格な施術コースや広告宣伝に依存していますが、これには限界が見えてきています。2025年度に減益や赤字を予測する事業者が増加する中、従来の経営スタイルの見直しが求められています。

施策と今後の展望

施術料金の割引やキャンペーンの実施は、顧客獲得を目指す手段として一般的になっていますが、物価高や経営破たんによる不安感が消費者の行動に影響を与えています。多くの事業者がコスト削減や利益改善に向けた方策を講じながら、業界全体での信頼を取り戻す努力が必要です。

急速な多店舗展開を進めた企業が既存店の不振により早期閉店を余儀なくされる事例も増えており、今後の経営戦略は一層厳しいものになることが予想されます。このような状況を克服するためには、業界全体での協力と革新が不可欠です。